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権威回復目論む金正恩の狡猾

6/16(日) 19:01配信

Japan In-depth

【まとめ】

・「粛清報道」拡散恐れ?「誤報」と印象付ける世論操作。

・欺瞞のためなら粛清した人物の映像をも狡猾に利用する金正恩。

・「クロスチェック」と「合理的推理」で金正恩の嘘を見抜け。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46320でお読みください。】



ハノイ米朝首脳会談(2019年2月27日及び28日)失敗で自身の権威を大きく失墜させた北朝鮮の金正恩委員長は、その権威回復の方法として、まず金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長をはじめとした実務者の思想点検・処罰・粛清を行いスケープゴートとし、次に韓国の文在寅大統領に対しては「仲介者」などと出しゃばらずに自身(金正恩)のために働けと脅迫し、そして会談破綻の主犯を米国のポンペオ国務長官やボルトン安保担当補佐官らに押し付けた。



■ 権威回復の手始めは責任転嫁

ハノイ米朝首脳会談失敗の責任転嫁のために、金正恩が党副委員長の金英哲を労役に、妹の金与正(キム・ヨジョン)を謹慎に、そして統一戦線部室長の金聖恵(キム・ソンヘ)と通訳を強制収容所送りとし、対米交渉特別代表だった金赫哲(キム・ヒョッチョル)を処刑したと朝鮮日報が報道した(5月31日)。ポンペオ米国務長官は、この報道に対して否定も肯定もせず「確認中」という答弁だけを出した。

だがこの報道に対して、金正恩は異例の速さで反応した。重要行事に金英哲と金与正を登場させて「粛清報道」が「誤報」であると印象付ける世論操作を行った。それだけこの報道の拡散が怖かったと見られる。

いまだに姿を現さない金聖恵の処遇や、特には金赫哲の処刑説については未確認ではあるが、健在ぶりを示すために出てきた金英哲が統一戦線部長を解任され幹部席の末席に座らされたことや、慈江道(チャガンド)視察に金与正が同行しなかった(玄松月が同行)ことを見ても、対米交渉関係者に処罰が下されたことは明白だ。また金正恩時代になって処罰から粛清という話もよくあることだ。

労働新聞は5月30日付で「良心は人間の道徳的風貌を規制する尺度」との個人論評を掲載し、北朝鮮で一連の粛清があったことを示唆した。そこには「首領(金正恩)に対する忠実性は、義務である前に良心であり、実践でなければならない。革命の道では、首領の崇高な道徳義理を身につけ価値の高い生活の頂点に上がる人もいれば、一方で首領への忠実性を言葉だけで覚え、甚だしくは大勢に応じて変化する背信者、変節者も現れる。忠実性は決して闘争年限や経歴から出てくるものではない」「首領の構想と意図を実現するために、自身の血と汗、命までも躊躇なく投げ打つ良心を持つ人間、義理の人間が真の道徳の強者、真の革命家である」と綴られ、今回の処罰・粛清がどのような名目のもとで行われたかが暗示された。

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最終更新:6/16(日) 19:01
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