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ソニーの『E3』不参加は正解だったのか ゲーム産業の変化と方針変更を考える

6/16(日) 7:07配信

リアルサウンド

 世界最大のゲーム見本市「E3(Electronic Entertainment Expo)」が、米国時間6月11日から13日にかけて米国のロサンゼルス・コンベンションセンターで開催された。各社から様々な発表が行われたが、今年の大きなニュースは、ソニーが出展しなかったことだ。1995年にE3が発足して以来、ソニーが不参加だったのは、史上初めてのことだ。

 2019年のE3でソニーが発表を行わなかった理由とは何なのか。そして、それは今後のソニーやゲーム業界にとって何を意味するのだろうか。

・『デス・ストランディング』新映像公開など、不参加でも話題は絶えず
 2018年11月にソニーは、2019年のE3不参加を発表した。ソニーは声明で、次のように述べている。「ゲーム業界が進化し、ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、コミュニティと繋がる独創的な機会を模索し続けます。PlayStationのファンは、弊社にとって非常に大きなもので、ゲーマーを喜ばせるために、常に革新し、違うアイデアをもって、新たな方法を試したいと考えます。結果として、2019年のE3に参加しないことを決めました。2019年に、私たちのコミュニティと交流するよい方法を模索しています。その計画をお伝えするのが待ちきれません」

 その言葉に裏打ちされるように、ソニーは小島秀夫氏が手がける新作ゲーム『Death Stranding(デス・ストランディング)』のトレーラーや、2020年にリリース予定のPS5の内容を限定的ながら公開した。

 これらの動きを含め、ソニーはPS4とPS5の複数のゲームを積極的に開発中と思われるが「今回の動きは、E3の準備が時間と労力を伴うものだということの裏付けの可能性もある」とGames raderはみている。また、「ソニーは、2019年のE3に不参加だったが、PlayStationがおとなしくなったわけではなく、ファンはがっかりする必要はない」とも伝えている(参考:PlayStation E3 2019: Sony is skipping E3 2019, but does that mean it's going to be silent?)。

 PlayStation E3 2019カンファレンスがなければ、ノーティードッグ、サッカーパンチプロダクションズ、コジマプロダクションといったソニー・インタラクティブエンタテインメントと関連のあるスタジオは、発表用の映像をまとめる必要がなく、開発に集中できるというのだ。

 ソニーは今年、E3の不参加だけではなくPlayStation Experienceを行わないことを決めている。リテーラーへのセールスのために、独自に開催しているイベントだが、米ソニー・インタラクティブエンタテインメントCEOのショーン・レイデン氏は、「北米の人々を皆集めて、イベントを行うのに十分なものがありません。期待を高めておいて、それを達成できないことは避けたいのです。難しい判断でしたが、今年はPlayStation Experienceを実施しないことを決めました」と述べている。

・ゲーム産業の変化に適応したソニー。E3はどうなる?
 E3不参加の理由には、いくつかの要因があるとされるが、ソニーのリテーラー獲得方法に変化があることが一つだ。また、開発するゲームの本数を減らし、そのぶん更に高品質を目指す方針も影響した。ほかにもソニーは、6月の見本市開催では、年末商戦に向けて遅すぎるとも考えているという。近年、インターネットでニュースが瞬く間に拡散するため、発表会の存在意義もやや薄らいでいることも考慮したとされる(参考:Sony Was Not At E3 2019; Here's Why PlayStation Skipped The Big Event)。

「ソニーは、2018年のE3で、4つのゲームに集中した新たな試みを行ったが、コミュニティの反応は複雑なものだった。他社も近年、E3のプランを変更してきている。Microsoftは2018年、ロサンゼルス・コンベンション・センターのショー・フロアから、近隣のMicrosoftシアターに場所を移し、2019年も再び同じシアターを使用した。任天堂は、E3でのライブステージをやめて、事前に手短にまとめて録画したNintendo Directを放映するようになった」(上記記事より)

 E3は元々、米国という巨大な市場におけるクリスマス商戦にむけての展示会という位置づけだったが、世界的なゲーム市場の動向を掴む上でも、非常に重要視されてきた。E3開催に先立って、大手各社が記者会見を行うのが恒例になっており、ライブストリーミングも行われるようになっている。会場の周辺では、トーナメントといったゲーム関連の小規模な催しも行われている。

 2017年と2018年には、限定的に一般の入場も許されたが、流通向けの見本市という位置づけのため、来場者は基本的にゲーム業界の関係者と取材を行うメディアばかりだ。ゲーム開発会社が、販売業者と商談を行い、マスメディアを相手に大々的に発表するという骨組みは、E3が始まった当時から大きな変化はない。

 一方で、ゲーム業界を取り巻く環境は激変している。E3がゲーム業界で大きな影響力を持つイベントであり続けるためには、今後はファンが直接参加できるといった、様々な工夫が必要かもしれない。

Nagata Tombo

最終更新:6/16(日) 7:07
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