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1億円を超える「有料老人ホーム」入居金…贈与とみなされる?

6/16(日) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

有料老人ホームの入居金が贈与税の非課税財産に該当しないことから、その入居金が結果的に相続税の課税価格に算入された事例(平成23年6月10日裁決)を、相続税やその税務調査の実態に詳しい、税理士の服部誠が解説します。

妻を主契約者・夫を追加契約者とし、老人ホームに入居

事案の内容は次の通りです。

●妻Aは、平成19年4月13日に有料老人ホーム「M」に入居するため、妻Aを主契約者、追加契約者を夫(被相続人)HとするM入居契約を締結した。

●妻A及び被相続人Hは、平成19年4月30日に、本件老人ホームの○○号室に入居した。

●本件老人ホームは住宅型有料老人ホームであり、全室個室で次のような供用施設を有している。

⇒大浴場、フィットネスルーム、プール、レストラン、ラウンジ、ビジネスセンター、ヘアエステ等。

●入居契約において支払うべき金員は1億3,370万円であるが、被相続人Hが約1億2,400万円、妻Aが約1,000万円を支払っている。

●被相続人Hは、平成19年4月20日付遺言公正証書を作成した。

●平成19年7月○日、Hが死亡、妻Aらは相続税の申告書を法定申告期限までに提出した。

●妻Aは入居契約時から現在に至るまで本件老人ホームに入居しているが、その間、介護を必要とする状態ではなかった。

●相続税の税務調査が行われ、被相続人Hが負担した入居金に関する更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分を受けた。

まず、納税者の主張は次の通りです。

●名義上の主契約者は妻Aであるが、実質的な主契約者は被相続人Hであった。そして、本件入居金は被相続人Hが負担すべきものであった。

●妻Aは、本件相続開始時に、被相続人Hから主契約者の権利である終身利用権を死因贈与により取得したものと認められるが、終身利用権は一身専属権であるから、相続税の対象とならない。

●仮に主契約者が妻Aであるとしても、本件入居金の性質は終身利用権の対価であり、その権利の贈与であるとしても、生活保持義務の履行であるとすれば、相続税法第21条の3第1項第2号の「扶養義務者相互間において生活費に充てるための贈与」に該当し、贈与税は非課税であるから、相続開始前3年以内の贈与加算の対象にもならない。

一方の税務署の主張は次の通りです。

●入居契約の内容を十分に理解した上で、主契約者を妻A、追加契約者を被相続人Hとしており、入居契約書に主契約者として署名押印しているのは妻Aであったことから、主契約者は妻Aであったと判断できる。

●本件入居金の法的性質は、家賃相当額の前払金であると認められる。

●入居契約の主契約者は妻Aであるから、妻Aが入居金支払義務を負うところ、被相続人Hが生活保持義務履行のために本件入居金の一部に相当する金額を負担したものである。

●従って、被相続人Hが負担した入居金の一部については、入居契約開始日において、いまだ生活保持義務の履行がなされていない部分は、妻Aが本件老人ホームを使用する期間の経過に応じて償却されていくものであるから、被相続人Hの妻Aに対する生活保持義務の前払金とみるべきである。

●ゆえに、前払金のうち、相続開始時にいまだ生活保持義務の履行が完了していない部分は、被相続人Hの妻Aに対する返還請求権の対象となる。

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最終更新:6/16(日) 8:00
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