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「仙人」イニエスタの夢のひと振り。 魔法ではない優れた準備が光る

6/16(日) 15:17配信

webスポルティーバ

「いつもよりもポジションをひとつ下げ、"ボールに出口を与える"のが仕事だった。4-4-2のボランチで、(山口)蛍との連係もいいから、心地よくプレーできた」

イニエスタだけではダメ。神戸「バルサ化」に足りないものは?

 試合後の取材エリアで、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)は、大勢の記者に囲まれながら、淡々と言った。髪は少し薄くなり、体つきは華奢で、ふくらはぎは横に立っている通訳よりも細い。"隠遁した仙人"のようにすら映る。

 しかし、ピッチに立つイニエスタは、他を寄せつけない空気をまとい、ひと蹴りでそこにある世界を変えてしまった――。

 6月15日、味の素スタジアム。深刻な成績低迷から新体制でリスタートした神戸は、首位を走るFC東京に挑んでいる。

「新たに就任したドイツ人監督、トルスティン・フィンクの資質は?」「クラブが掲げた『バルサ化』は迷走しているのか?」「新たな戦い方の形は?」......それらはこの試合の関心事だった。

「久保建英がレアル・マドリードへ移籍したFC東京はいかに戦うか?」も、注目の的だっただろう。

 しかし、どれもこれも消し飛んだ。この夜は、ひとりのクラッキがまばゆく輝いた。イニエスタは川崎フロンターレ戦(4月28日)以来のリーグ戦先発出場だったにもかかわらず、なんの違和感もなく試合に馴染み、華麗に主役を演じた。

「アンドレス(イニエスタ)がいるストロングを生かすため、ボール支配率を高める戦いを選択した。アンドレスはどこのポジションもできるが、いつもより低い位置でビルドアップの仕事を託す作戦だった。そこから前を向いて、チャンスを作れると」(フィンク監督)

 イニエスタはバックラインからボールを受けると、そのボールを適切なタイミングで、正しい方向に流した。ボールを受けては出す。その単純だが難しい動作を、彼は息を吸って吐くようにやってのける。自然な動作で裏をかき、タイミングを外し、守る側を懐へ入らせない。たとえばFC東京のプレスがはまったように見えたゴールキックも、彼はわずかに位置をずらすだけで自由にボールを受け、出したパスは味方の好機につながった。

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最終更新:6/16(日) 15:17
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