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繰り下げ強調、その陰に… 年金「新定期便」の読み方

6/17(月) 7:47配信

NIKKEI STYLE

日本年金機構から届く「ねんきん定期便」のデザインが変更された。受給を遅らせると年金額が増えることを示したのが大きな特徴。一方で相変わらず載っていない情報もあり、将来の年金額の全体を知るには不十分だ。記載内容の見方と、それを今後にどう生かすか知っておきたい。
「70歳まで遅らせると金額が42%も増えるんだ」。5月末に届いたねんきん定期便を開いた55歳の女性はつぶやいた。短大卒業後会社に勤めて30代のときに退社し、以後は専業主婦を続けた。定期便に記載された年金の見込み額は年100万円に遠く及ばず「ずいぶん少ない。遅らせるのもありかな……」と話す。

■「70歳なら42%増」

ねんきん定期便は厚生年金や国民年金の加入期間や受給額の目安が分かる通知書だ(図A)。毎年、誕生月にハガキなどで送られてくる。その記載内容が4月から一部変わり、追加された部分がある。

繰り下げ受給についての説明だ。年金はもらい始める年齢を通常の65歳より遅らせる(繰り下げる)と毎年の年金額が増える。新しい定期便は、70歳まで遅らせた場合に最大42%増額されることを図を用いて説明している(写真)。

繰り下げを選択するとしばらくは無年金となるが、働いて収入を稼ぐなどしてしのげればその後、増額の恩恵を受けられる。シニア就労時代にマッチするとして政府は、繰り下げ可能な上限年齢を70歳超へ引き上げることを検討中だ。

年金制度では受給開始を65歳より早めることも可能だ。定期便には60歳まで選択可能な点は書かれているが、その場合に年金額が最大30%減ることには触れていない。みずほ総合研究所の堀江奈保子主席研究員は「繰り下げで年金額が増える点ばかり示すのはバランスを欠く」と指摘する。
受給を遅らせる繰り下げを選んだ場合、「人によってはデメリットが生じる可能性があるが定期便はその点に触れていないので注意したい」と社会保険労務士の永山悦子氏は話す。
例えば年下の配偶者がいると年額約39万円が厚生年金に上乗せされることが多く配偶者が65歳になるまで続く。加給年金という。だが繰り下げるとその期間中、加給年金は出なくなる。繰り下げの結果、年金収入が増えて税・社会保険料負担が増す場合もある。
日本年金機構は加入者の節目の年齢(35、45、59歳)に年金記録の詳細版を封書で送る。繰り下げに伴う注意点は説明しているが、イメージ図で繰り下げのメリットを強調するデザインは通常の定期便と同様だ。
定期便には加入者が知りたいはずなのに載っていない情報もある。代表例が前述した年約39万円の加給年金だ。配偶者が年下で条件を将来満たしそうな人は加味して考えよう。その配偶者が65歳になると加給年金に代わって振替加算という上乗せが付くこともある。生年月日によるが配偶者に年約1万5000~22万円が生涯支給される。この振替加算も載っていない。
ねんきん定期便は夫婦であっても別々に送られてくる。社会保険労務士の原佳奈子氏は「世帯全体の年金についてより正確に把握したい場合は年金事務所に確認したい」と話す。

50歳未満の人に届く定期便には、50歳以上向けとは異なり、年金の「見込み額」は載っていないことに気をつけよう。記載されている「年金額」はあくまで過去の保険料納付の実績に基づいて計算した額で、今後の見込みは含まない。

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最終更新:6/17(月) 12:15
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