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何も解決しないトランプ外交

6/17(月) 8:44配信

Japan In-depth

【まとめ】
・トランプ氏は弾劾審査等を回避するために次期大統領選に躍起。
・貿易戦争でメキシコに圧力をかけるも効果出ず。
・メキシコは米への不法入国を制限する対策を立てている。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46331でお読み下さい。】

先月、ロシアの大統領選挙介入とトランプ政権による司法妨害についての報告書が公開された後、

初めて公の場に姿を現したロバート・マラー特別捜査官は、記者発表で当初からの司法省の方針により、司法省は大統領を訴追できないため、調査報告書を基にした次なる司法措置は米国議会による弾劾審査に委ねられるべきだと示唆した。

野党のデモクラッツ(民主党)の間では次の選挙を控えて、下院で弾劾を決議しても、与党である共和党が上院で行われる弾劾裁判を牛耳ることになるため、大統領が有罪となる確率はほとんどないので、弾劾への手続きを取るかどうかで分裂している。

任期中に弾劾が叶わない場合は、ドナルド・トランプが大統領でなくなったその日に連邦裁判所だけでなく、ニューヨーク州や首都ワシントンの地方裁判所で提訴される可能性がある。逮捕、起訴、有罪となるのを避けるためにはなんとしても大統領で居続けたいトランプは、次の大統領選に向けて自分の支持層にアピールをすることに余念がない。

特に公約の目玉だった「メキシコ国境に壁を作り、違法移民を阻止する」ことには未だに固執しており、公約通りにメキシコに壁の建設費を支払わせることも、議会から予算を勝ち取ることもできないトランプ大統領は、今度は関税を振りかざしての貿易戦争でメキシコに圧力をかけようとしている。

そもそも関税というのは輸入品に対して「米国民が支払う」税金で、

輸出する側のメキシコには何ら関係なく、影響があるとすれば、割高になったメキシコ輸入品が敬遠されるからなのだが、トランプにはそれが理解できないらしい。むしろメキシコから輸入される農作機や医療機器が高くなって困るのは米国民なのだが、トランプはまず手始めに全ての輸入品に5%の関税をかけ、メキシコが中米からの違法移民を国境で食い止めないのであれば、徐々に高くしていくと発表した。

もちろんこれはハッタリなのだが、ウォール街ではさっそく株価が下がるわ、常にトランプの味方であるはずの共和党議員が次々と関税は経済悪化を招くだけだと反対を唱え出すわ、トランプが期待するような効果は上がらなかったようで、さっそくこの発言は撤回している。

統計で見る限り、メキシコからアメリカに入国する違法移民は近年ずっと減り続けている。増えているのは、メキシコではなく、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスなど、マフィアの暗躍で犯罪率が上昇している中南米の国から亡命した人たちがメキシコを通ってアメリカに難民申請をしているケースなのだが、トランプにはその違いがわかっていない。

アメリカ側は中南米からの難民に対し、亡命先をアメリカではなく、メキシコにさせるよう要求していた。これに対しメキシコは、自国独自の政策で違法にアメリカに入国する季節労働者を制限する対策を立てたので、45日間これを施行した後にその成果を見直す、という提案をしたのが先週。メキシコのエブラルド外相は、関税の脅しに対してこれ以上の協議はしていないと、先週はっきり否定したのだが、トランプ大統領はその翌日、マスコミ陣を前に、何も書かれていない白い紙を振りかざして「これはメキシコが秘密裏に譲歩した移民対策を書いた手紙だ」とパフォーマンスを見せてアイオワ州に向かった。

何しろ、ちょうど今、全米で真っ先に大統領予備選を行うアイオワ州には両党の大統領候補が結集しているのだ。

トランプはアイオワに乗り込んでさっそく、「スリーピー(眠たげな)ジョー」とデモクラッツの最有力候補であるジョー・バイデン前副大統領の悪口をツイッターに書き込んだ。

このようにトランプ大統領の外交策とは、遂行する気もない経済制裁や戦争の可能性を口にしては、それを撤回することで危機を回避したかのように見せるハッタリに終始することだ。北朝鮮のミサイル問題しかり、イランの非核化合意しかり。それにまんまと乗せられて、仲介役を買ってのこのこイランを訪問する国もあるが。

大原ケイ(英語版権エージェント)

最終更新:6/17(月) 8:44
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