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新石器時代に人工島、定説覆す発見、巨石文明誇った英スコットランド

6/17(月) 18:00配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

目的は不明、ほぼ無傷の土器も

 新石器時代の英国(紀元前4000年~2500年)の研究となれば、謎めいた話を多少は期待するだろう。新石器時代のブリテン諸島に人が住み農耕を行っていたのは、文字が伝わるずっと前だった。そのため、彼らの生活を伝える記録は遺物のみだ。

【関連写真】人工島(クラノグ)の航空写真を見る

 実際、彼らは多くの遺跡を残した。ストーンヘンジやオークニー諸島のストーンサークルなど、建設に途方もない労力が必要だったものもある。だが、これらの遺跡の背後にある文化的慣習や真の目的は、ほとんどわかっていない。

 今回、考古学者が頭をかきむしりたくなるような、まったく新たな種類の新石器時代の遺跡が見つかったかもしれない。人工島である。

 これらの人工島は、一般にクラノグと呼ばれ、スコットランドとアイルランドの多数の湖や水路に点在している。そのほとんどは、鉄器時代(紀元前800年~紀元43年)に作られたとずっと考えられてきた。

 ところが、6月12日付けで学術誌「Antiquity」に発表された論文によると、スコットランドにある600近いクラノグの少なくともいくつかは、それよりはるかに古いものであると判明した。従来考えられていたよりも3000年近く古く、間違いなく新石器時代のものだという。しかも、その手がかりとなった遺物は、当時の人々の営みを示している可能性がある。

「これほどのものは見たことがありません」

 一部のクラノグが新石器時代にまで遡る可能性が初めて指摘されたのは1980年代、スコットランドの北ウイスト島の湖に浮かぶ小島を考古学者が発掘していたときのことだ。小島は鉄器時代のものと考えられていたが、新石器時代の遺跡だと判明した。他にも同様のケースがあるのではないかと考えられたものの、その他のクラノグの調査では、新石器時代を起源とする証拠はその後しばらく得られなかった。

 状況が変わったのは2012年、スコットランド西部の沖に浮かぶアウター・ヘブリディーズ諸島で、地元のダイバーがクラノグ周辺の水中から新石器時代に特徴的な土器を発見した時だった。地元博物館や考古学者が共同で調査を行い、複数の人工島の辺縁部で見つかった石器時代の土器や古代の材木を放射性炭素年代測定にかけたところ、最終的に5つの人工島が新石器時代に起源を持つと確認された。

 人工島は何千年にもわたり繰り返し利用されてきたため、クラノグ上で新石器時代の生活の痕跡を見つけるのは難しかった。だが、周囲の水中に関しては、話は別だ。6000年前の土器のわずかな欠片を調べることの多い考古学者にとって、クラノグ周辺の水中で見つかった新石器時代の土器が無傷に近い状態なのは「驚くべきことだ」と、論文の共著者である英レディング大学の考古学準教授ダンカン・ガロウ氏は言う。「英国の出土品で、これほどのものは見たことがありません」と同氏は話す。「こうした土器は、水中に捨てられたものだと考えられます」

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