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三谷幸喜との新作『月光露針路日本 風雲児たち』に挑む、 松本幸四郎の視点

6/17(月) 17:30配信

T JAPAN web

新作歌舞伎に挑み続ける理由を語る

 歌舞伎座で上演中の「三谷かぶき『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)風雲児たち』」は松本幸四郎さん主演の新作歌舞伎だ。だが、幸四郎さんには、この作品をとりたてて歌舞伎にしようという意識はないのだという。「三谷さんとすごい芝居をつくりたいという思いだけです」
 幸四郎さんが三谷幸喜作・演出の「PARCO歌舞伎『決闘! 高田馬場』」で主人公を演じたのは2006年。それは幸四郎さんの熱烈なオファーにより実現した舞台で、その折に約束を交わした次回作がようやく実現したというわけだ。そもそも幸四郎さんは三谷作品のどこに惚れ込んだのだろうか。「テンポのいい会話とユーモアのセンス、それから人間味ある登場人物たちに魅力を感じます。超人的なヒーローとは正反対の、自分自身に置き換えて共感できる人たちの物語になっているところです。逆に言えば、歌舞伎ではそういう作品が珍しいということなのかもしれません」

『月光露針路日本』稽古風景

 現在、演じている大黒屋光太夫もまさにそんなキャラクターだ。江戸時代に実在した光太夫は、船で伊勢から江戸に向かう途中に暴風雨に見舞われアリューシャン列島に漂着。その後、ロシアの地を転々としながら10年の時を経て日本に帰国した人物で、この舞台は歴史漫画『風雲児たち』(みなもと太郎作)を原作としている。

 物語は、光太夫を船頭(ふながしら)とする商船神昌丸が、嵐で帆を失い大海原を漂流しているところから始まる。乗組員17人は年齢も性格もばらばらで、漂流生活で健康を損なっている者もいる。時にぶつかりながらもわずかな食糧を分けあい、ひたすら陸地を探し求めた結果、一行は八か月後にようやく見知らぬ土地に上陸すると――
「原作を読まれた三谷さんはこれを歌舞伎で観たい!と思われたそうで、乗組員個々の人格、人生が描き込まれた物語は、群像劇として非常に魅力的です。光太夫の成長に焦点を当てたところに三谷さんのオリジナリティーがあります」

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最終更新:6/17(月) 17:30
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