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米朝会談失敗で金正恩の幹部たちは今どこへ? 処刑説の側近が過ごしている場所とは

6/17(月) 6:00配信

文春オンライン

 5月末の朝鮮日報の報道後、北朝鮮幹部の動静を巡る情報が錯綜している。不明な点も残るが、2月のハノイでの米朝首脳会談での失敗を受け、金正恩外交の指揮系統を整理したということだろう。

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 謹慎説が浮上したが、6月に入って動静が伝えられた金正恩氏の実妹、金与正氏。北朝鮮の中枢にいた脱北者たちは「軽重を問わず、与正が政治的責任を問われることはあり得ない」と口を揃える。正恩氏の権力を支える唯一の根拠は血統だ。与正氏は、人脈に乏しい正恩氏の数少ない肉親でもある。露出が減ったのは、北朝鮮の指導者が権威付けによくやる「神格化」の一つだろう。実際、韓国政府関係者は「首脳合意文書の署名式でペンや文書を差し出す仕事は、我が国なら課長の仕事。本来なら与正氏がする仕事ではない」とも語っていた。

 銃殺が報じられた金赫哲対米特別代表。「他の外交官3人とともに美林飛行場で銃殺された」「ハノイ会談の通訳だったシン・ヘヨン氏とともに政治犯収容所に送られた」などの未確認情報が飛び交っている。カウンターパートだったビーガン北朝鮮政策特別代表が接触できていないことから、公式ラインから消えたことは間違いないようだ。

“毒蛇”と恐れられた金英哲氏はいまどこに?

 統一戦線部長を退任し、強制労働説も出た金英哲朝鮮労働党副委員長。私が聞いているところでは、初期のガンが見つかり、烽火診療所で治療を受けているという。凄みをきかせた弁舌で、韓国側から「毒蛇」と恐れられた金英哲氏だが、15年夏の南北緊急協議では、ほとんどの交渉を部下の金聖恵統一戦略室長に任せるなど衰えも目立ち始めていた。ただ、烽火診療所は朝鮮労働党の部長級以上しか使用できない高級医療施設。政治的に粛清されたということはありえないだろう。

 最後に、昨年、北村滋内閣情報官と接触したとされる金聖恵氏。所属する統一戦線部は外交の指揮系統から外れたと見られるが、金聖恵氏は崔善姫第一外務次官とともに、与正氏お気に入りの女性官僚。正恩氏直属の書記室や国務委員会の要員として位置づけられていたという情報もある。

「前提条件なしの日朝首脳会談」を唱えた安倍政権。今しばらくは、金正恩外交の新しい陣容を探る仕事から始めなければいけないようだ。

牧野 愛博/週刊文春 2019年6月20日号

最終更新:6/17(月) 6:00
文春オンライン

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