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フィンランド政府が2年間ベーシックインカム給付をして分かったこと

6/17(月) 11:00配信

現代ビジネス

 ベーシックインカムとは一言でいうと、「すべての人に無条件で一定の額のお金を給付する」制度のことである。

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 前回(「今、『ベーシックインカム』とは何か?」)はAI技術が職を奪う恐怖などから、世界規模で注目が集まっていること、またベーシックインカムの定義などを紹介した。

 今回は、昨年末まで2年に渡ってフィンランド政府がおこなったベーシックインカムの給付実験について紹介する。

フィンランド政府の給付実験と暫定結果

 フィンランド政府が実施したベーシックインカムの給付実験の概要は、以下の通りである。

 失業手当受給者から学生などを除いた母集団(25歳以上58歳以下)から、ランダムに2000人を選び、月額560ユーロ(約7万円)を給付。

 この額は税引き後の失業手当とほぼ同額である。失業手当の場合は、職を探していることが条件であり、また収入がある場合にはその額に応じて減額されるが、実験対象者には2年の間、そのような条件や減額措置がないというのが主な違いである。

 こうした条件や措置をなくすことによって、雇用や所得、健康や主観的な幸福度などにどのような変化が出るかを調べようとしたのである。母集団から給付対象者2000人を除いた約17万3000人が、比較対象となるコントロール・グループである。

 今年2月にフィンランド政府は記者会見を行い、実験の暫定結果を公表した。図1は雇用に関するデータである。

 給付対象者はコントロールグループに比べて、働いた日数ではわずかに多いが、稼いだ額についてはわずかに少ない。いずれも統計的には有意な差ではなく、給付は雇用には変化をもたらさなかったと結論づけている。

 図2は、健康状態やストレスについての自己評価、2018年12月に調査したものである。

 健康については肯定的に答えた割合が給付対象者で56%なのにたいし、コントロールグループで46%にとどまっている。

 ストレスについても全く感じないかあまり感じないと答えた割合が給付対象者で55%だったのに対し、コントロールグループでは46%となっている。

 また図にはあげていないが、他者への信頼、法制度への信頼、政治家への信頼などについての調査し、これらもコントロールグループより給付対象者の方が高くなっている。

 これらを踏まえて、主観的な幸福度に効果があったと政府は結論づけている。

 図3は、社会保障給付の受給過程が官僚的かどうかを問うたもので、これも給付対象者の方が、「官僚的でない」と肯定的に答えた割合が高くなっている。

 いずれも暫定的な分析で、最終結果は2020年中に公表されることになっている。

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最終更新:6/21(金) 8:50
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