ここから本文です

携帯「2年縛り崩壊」へ、総務省の強行で大手3社に激震

6/17(月) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 総務省が11日、携帯電話料金を2年契約の途中で解約する「違約金」を現行9500円から1000円以下に引き下げる案を示し、携帯業界は激震に見舞われた。総務省は今秋の導入に向けて急激なルール改正を進めようとしているが、その強硬な姿勢に大手3社の不満はピークに達してきた。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

● 「縛り」なくなり乗り換えられ放題

 「1000円とは安すぎる」――。総務省が6月11日、携帯電話料金に関する有識者会議に、携帯電話料金の引き下げのルール案として「違約金1000円以下」を提示し、携帯大手に激震が走った。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの通信大手3社は、2年間の契約が事実上の標準プランで、この期間に解約した場合は、違約金として9500円を課すことで、ユーザーの安定を保ってきた。

 この「2年縛り・違約金9500円」という契約の枠組みは、2008年に番号持ち運び制度(MNP)が導入された頃から定着して今に続いてきたが、18年8月に菅義偉官房長官が「携帯料金は4割下げる余地がある」と発言したことをきっかけとして急速に見直しの機運が高まった。

 通信大手としても見直しは覚悟していたが、それも一気に1000円まで下がるとなれば、ユーザーを繋ぎとめる効果はほとんどなくなる。

 それだけではなく、現行の2年契約は「縛りなし」のプランに比べて月額1500~2700円安く設定しているのに対し、総務省の案では、この引き下げ幅の上限をわずか月170円とされた。もはやユーザーにとっても、月170円しか安くならないのであれば、2年契約を選ぶメリットはほとんどない。

 「事実上、2年契約の縛りが禁止されるようなもの。いつでも乗り換えられてしまう」。これが携帯大手の深刻な受け止めだ。

● 値引き「上限2万円」で高額端末の販売減へ

 総務省が11日に提示した案は、今秋にも施行となる改正電気通信事業法の省令案の方向性となる。

 改正法は(1)携帯電話の通信料金と端末代金の完全分離、(2)「行き過ぎた期間拘束」――という2本立てで、すでに前者については、通信大手3社が通信料と端末の「分離プラン」を導入済みだ。NTTドコモとKDDIは6月から通信料部分を最大4割引き下げた新料金プランをスタートさせている。

 一方、NTTドコモの「月々サポート」など、通信大手は、通信契約とセットで提供していたスマートフォン端末の購入補助を廃止したため、ユーザーの端末代金の負担が重くなることが課題として残されていた。

 そこで、総務省は11日に示した案で、この端末の値引きについても「上限2万円」という数値を盛り込んだ。本体価格が12万円強のiPhoneXSなら、かつての端末補助を使えば実質半額近くで購入できたが、新ルールでは10万円強の負担が強いられる。

 スマホ端末の割引そのものは禁止されていないが、2万円という水準では、高額な端末であるほど値引き効果が薄くなる。通信大手のスマホの販売台数の減少は必至で、端末販売で収益を稼ぐ携帯代理店(携帯ショップ)の打撃も大きい。

 総務省案の狙いは、端末の値引きをできるだけ抑え、その原資を通信料の引き下げに回すように仕向けることだ。違約金を1000円以下にしてユーザーの流動性を高めれば、料金引き下げ競争に繋がるとの思惑がある。

 さらに、矢継ぎ早に案を打ち出す総務省には、10月の楽天の新規参入までに手を打っておきたい狙いも透ける。大手3社から乗り換えやすくして、楽天の参入に間に合わせ、携帯4社の競争の構図を早期に作り上げたい考えだ。

1/2ページ

最終更新:6/17(月) 14:45
ダイヤモンド・オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

週刊ダイヤモンド

ダイヤモンド社

2019年7月20日号
発売日7月13日

定価710円(税込み)

特集 三菱・三井・住友
財閥グループの真実
特集2 「MMT」の真実
特集3 スルガ銀行 創業家との決別

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事