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言ってはいけない年金制度の真実 「老後資金2000万円不足」の本当の意味(橘玲)

6/18(火) 7:00配信

マネーポストWEB

 今回の報告書とは別の金融広報中央委員会の調査では、60代の2割、70歳以上の3割が「金融資産を保有していない」と答えている。70歳以上の人口は2500万人なので、じつに700万人以上が「貯蓄ゼロ」で暮らしていることになる。この貧困高齢者が1000万人を超えるのも時間の問題だろう。

 さらなる問題は、報告書の「2000万円」がむしろ少なすぎることだ。生活費の不足分を補うだけで、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームに入居する費用などは含まれていない。多くのファイナンシャルプランナーが「老後に備えて5000万円の貯蓄が必要」と唱えているが、さほど誇張したものとは言えない。

 金融庁のお役人としては、「2000万円」はかなり控え目な金額にしたつもりで炎上することなど思ってもみなかったのではないか。

 団塊の世代の全員が受給者側になった今、年金は最大の政治タブーになった。ちょっとしたことで大炎上になり、もはや年金について議論することさえ許されない――その現実が明らかになったのが今回の騒動だった。

「老後問題」の本質は、長寿化で「老後」が長くなり過ぎたことだ。

 20歳から60歳まで40年間働きながら払った年金保険料だけで、サラリーマンの夫と専業主婦の妻が100歳まで、2人分で計80年間、年金だけで暮らせるなどという法外な話があるはずはない。

 この「不都合な真実」に対処するには「老後を短くする」しかない。できるだけ長く現役を続け、年金に頼る期間を短くする。これで、老後に必要な資金は大幅に減る。これからは、早い時期から「生涯現役」を見据えて準備する者が有利になるだろう。

「働きたい高齢者」が大きく増えることが見込まれる中、不可避となるのは年齢にかかわらず働ける労働市場の整備だ。

 そのためには、定年引き上げではなく、定年制を廃止しなければならない。英米を筆頭に、すでに世界の主流は定年制を法で禁止することだ。なぜなら、「終身雇用」とは本人の意思を無視して、一定の年齢になれば強制的に解雇する「年齢差別」だから。

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最終更新:8/1(木) 11:28
マネーポストWEB

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