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【MLB】投手に目玉がいなかった今年のMLBドラフト

6/18(火) 16:03配信

週刊ベースボールONLINE

 今年のMLBドラフトは投手に人材を欠いた。最初に指名された投手は、レッズの一巡7番目、UTC(テキサス・クリスチャン大)の左腕ニック・ロドロ。トップ10で投手は一人だけ。一巡の32人の選手の中では10人だけだった。

 各チーム、ドラフト前に1000人を超すアマチュア選手をリストアップするが、全体的に見ても「大物が少ない不作の年」の評価だった。一つの理由は現在のドラフトシステムにあると見られる。各球団、使える契約金は指名権につくスロットバリューを足し合わせたもので、例えばオリオールズの一巡一番目の指名権のバリューは841万ドル、二巡以降のほかの指名権のバリューをすべて足しあわえると1382万ドル。仮にオリオールズがトップ指名のアドリー・ラッチマンより低い金額で合意できれば、差額を下位で指名した選手に使える。

 そのやり方で近年、大学進学を決めていた高校の大物選手を翻意させるケースが少なくなかった。例えば2014年のドラフト。カブスはカイル・シュワーバーを一巡4番目で指名、スロットバリューは462万ドルだったが、312万ドルで合意。その差額を使って、バンダービルト大進学を決めていた六巡、高卒右腕ディラン・シースを翻意させた。

 彼の指名順のスロットバリューは26万6000ドルだったが、150万ドルをオファーできたのである。彼は順調に成長、17年7月ホセ・キンタナをトレードで獲得したとき、エロイ・ヒメネスとともにホワイトソックスに交換要員となった。シースの昨季のマイナー成績は12勝2敗、防御率2.40である。

 もともと高卒投手は、大学選手、高卒野手よりも、ものになるかどうか不確かで、一巡指名にはリスクがあると言われてきた。だから上位で指名されることは少なかったのだが、システムを利用し、契約金を浮かせたことで、ドラフト上位レベルの契約金を払え、青田刈りが進んだのである。

 さて普段から主に取材しているカブスだが、以前もこの欄で書いたように、生え抜きの投手が育ってこない。そこで今年も一巡指名権(27番目)を使ってフレズノ州立大の21歳、ライアン・ジェンセン投手を指名。トップ5指名のうち4人が投手だった。

 意外だったのはジェンセンが183センチ、80キロと体は大きくなく、投げ方も特徴があり(ケガの心配がある)、昨年までは成績が悪かったこと。MLB公式サイトが発表するトップ指名候補には名前がなかった。

 カブスのドラフト責任者ジェイソン・マクロードは「ジョン・レスターのような大きな体ではないし、前だったら指名しなかった。だが、私たちはアマチュア投手の評価の仕方を変えている。よりアナリティックを参考にしアスレチシズムを重視している」と説明する。

 ちなみに彼のスロットバリューは257万ドルで合意金額はこれ以下になりそう。ソフトバンクのカーター・スチュワート・ジュニアが日本を選んでなければ、今回は二巡上位指名の予想でスロットバリューは140万ドルから170万ドルだった。アメリカのアマチュア投手たちがスチュワートの契約をうらやましがっているのは間違いないのだ。


文=奥田秀樹 写真=Getty Images

週刊ベースボール

最終更新:6/19(水) 15:33
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