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その税金対策は大丈夫?税理士も陥る「役員退職金」の落とし穴

6/18(火) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

オーナー個人の税務戦略に特化したコンサルティングを行う株式会社東京会計パートナーズの代表取締役・齋藤伸市氏の著書『財を「残す」技術』より一部を抜粋し、「役員退職金」で税金対策をするうえでの注意点を解説します。

税率が非常に低い「役員退職金」でお金を残すコツ

役員退職金は個人の資産を残すうえでも大きなメリットを発揮します。多額の役員退職金を受け取ると、会社に大きな負担をかけてしまう――もしも、こんな考え方を持っているなら、今すぐ捨てるべきです。役員退職金は役員報酬に比べて、税制面で大きなメリットがあります。このメリットを「活用するか、しないか」で納税額は大きく変わってきます。

たとえば、5年間で総額2億円の役員報酬を受け取るオーナー経営者がいたとしましょう。この金額をすべて役員報酬として受け取れば、手取り総額は1億2000万円程度になってしまいます。約8000万円の納税が必要になるのです。

これに対して、2億円のうちの半分を役員報酬で受け取り、残りの半分を役員退職金で受け取るとどうでしょう。手取りは1億5000万円程度まで増えます。その差額は、なんと3000万円です。原資の2億円は同じでも、受け取り方を変えただけで、ワンルームマンションが買えてしまうほど、納税額に差が生じます。

ここまで差が生じる原因は単純です。役員報酬にかかる所得税・住民税の税率は高く、役員退職金の税率は低いからです。同じ金額を受け取るのなら、税率が低い役員退職金で受け取った方が絶対的に有利ということになります。

役員退職金を組み込むことで会社の負担はどうなるかといえば、1年目から4年目までは役員報酬が減少するため税負担が増えますが、5年目で役員退職金をまとめて損金計上することができます。ですから、5年間の損金総額はまったく変わりません。

気になるのは、一期に多額の損金が発生することです。しかし、この損金は、繰越欠損金として、翌期以降、9年間は繰り越すことも可能です。もし、退任後に繰越欠損金を残したくないと考えるなら、掛け金が損金になる共済や保険を活用して、退職金の原資となる現金を準備しておけばよいでしょう。

個人の収入から負担する所得税や住民税は給与から天引きされるので、痛みを感じにくいものです。一方、法人税は一括納付なので、負担感があります。そのため、法人税の節税に目を奪われがちなオーナー経営者は多いものですが、天引きという錯覚に惑わされず、個人の収入に対しても、節税の高い意識を持つのが望ましいのです。役員退職金はそれを実現するために最適なツールです。

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最終更新:6/18(火) 8:00
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