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香港デモ現場ルポ、習近平が「香港200万人抗議」を恐れる理由

6/18(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

● “暴動”とされた香港デモの 平和的な行進

 6月16日、日曜日、13時半。香港中心部の銅鑼湾(コーズウェイベイ)にあるショッピングモール、SOGO付近に到着すると、あたりはすでに黒いシャツを着用した市民であふれかえっていた。“間違えて”明るい色のシャツを着てきてしまった市民、あるいは繁華街であり観光地でもある銅鑼湾を歩いていた人の多くが、そこから徒歩2分の位置にあるワールドトレードセンター5階にあるUNIQLOに飛び込み、黒いシャツやズボンを購入して、着替えていた。

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 元々の引き金は、刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改正案への反対であった。前週の日曜日に大規模な抗議デモが行われ、先週も香港立法会(議会)による同案の審議に反対するための集会やデモが行われていた。

 その過程で、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港特別行政区長官率いる香港政府は、それらの抗議集会・デモを“暴動”と位置づけ、かつ警察部隊が学生を含めた一般市民に対し銃を向け、催涙弾やゴム弾を“発砲”した。

 16日のデモは香港政府のそういう態度や手法に対する反発を反映しており、同案反対を超えて、より深刻な事態へと進展していた。主催者の発表で前週デモ(約103万人)を超える200万人近くに及んだ参加者らが一律に黒シャツを着用していた背景には、警察部隊によって撃たれた市民を悼む思いが込められていた。

 SOGOからデモの集合地点であるビクトリア公園(毎年6月4日に天安門事件の追悼集会が行われる場所)へ移動する200メートルほどの空間も、黒シャツを来た市民、演説や募金に奔走する民主派団体などで埋めつくされ、歩行が困難なほどであった。

 現場で最も頻繁かつ大量に配られていた2枚のポスターには「学生没有暴動」、「問責槍撃、撤回控罪」という主催者や参加者にとっての核心的な立場が記されていた。学生が行ったのは暴動ではなく、平和的な抗議活動であること、発砲の責任を問い、かつ林鄭月娥が前日(土曜日)午後に記者会見で表明した同条例の無期限延期ではなく“完全撤回”を要求する主張である。

 そして、ポスターの背面には“雨傘”を持って抵抗する市民と“武力鎮圧”しようとする警察部隊が衝突する写真、警察部隊からの“発砲”で顔面を撃たれ、出血し倒れ込む男性、そんな彼を救出しようとする市民の写真が貼られていた。

 気温28度、湿度80%未満といつもより過ごしやすい気候の中、ビクトリア公園を予定されていた15時より少し早く出発したデモ隊は、掛け声を合わせ、互いに鼓舞し合いながら、立法会や政府本部がある中心地のアドミラルティを目指して約3キロを平和的に行進した。それは深夜まで続いた。

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最終更新:7/11(木) 13:25
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