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それ間違ってます! 東南アジアのトイレにあるハンドシャワーの正しい使い方とは <下川裕治の旅をせんとや生まれけむ>〈dot.〉

6/21(金) 11:30配信

AERA dot.

「おや?」と思って立ち止まる。そしてはじまる旅の迷路――。バックパッカーの神様とも呼ばれる、旅行作家・下川裕治氏が、世界を歩き、食べ、見て、乗って悩む謎解き連載「旅をせんとや生まれけむ」。第3回は東南アジアのトイレで見かける「ハンドシャワーの正しい使い方」について。

【日本人が使い方で悩む、タイのトイレにあるハンドシャワーはこちら】

*  *  *
 僕は長く誤解していたようだった。東南アジアのトイレには必ずといっていいほどついているハンドシャワーである。これは用を足した後、肛門付近に噴射させて洗うものだと思っていた。つまり、日本でウォシュレットなどと呼ばれる温水洗浄便座の東南アジア版という認識だった。

 このハンドシャワーの水圧は、国によって差がある。カンボジアのそれはやたら強く、肛門の粘膜がめくれるような感覚になる。ベトナムはやや弱く、タイはその中間ぐらいだろうか。

 そんな話をしていると、ひとりのタイ人が怪訝そうな顔つきでこういった。

「肛門に水をあててるんですか。それは違います。ハンドシャワーの水は手に当てるんですよ」
「手?」
「手というか指というか。水を流しながら指でお尻を洗うんです」

 彼の説明によると、東南アジアはもともと、尻を水と指で洗う文化圏だった。インドと同じなのだ。用を足した後は、桶に水を汲んで、それを流しながら尻を洗った。

 そこで発明されたのがハンドシャワーだった。これがあれば、桶を手にもつより簡単に尻を洗うことができた。だからハンドシャワーの水は手に当てる。指に水を流しながら洗うことをより簡単にしたものがハンドシャワーだったのだ。

 日本人は温水洗浄便座に慣れているせいで、ハンドシャワーを肛門に噴射させてしまう。しかし、根本的な考え方が違っていたのだ。

 なんだかすっきりした。ハンドシャワーの使い方が、昔から腑に落ちなかったからだ。

 さっそく試してみた。

「ん?」

 難しいのだ。トイレに座ったまま、左右の手を入れなくてはならない。そのスペースがない。和式トイレならなんの問題もない。しかし洋式になると……。

 手に当てると教えてくれたタイ人に訊いてみた。

「そうなんです。洋式になって、ちょっと難しくなった。お尻を少しずらさないと両手が入らないから」

 やはりタイ人も洋式トイレで悩んでいたのだ。しかしなんとか指で洗う方法を実践していた。

 彼らにいわせると、温水洗浄便座の方が苦手だという。理由は尻がきれいになったのかどうか、確認できないからだ。なんとなく「やり残した感」があるのだという。

 アジアでせめぎあうハンドシャワーと温水洗浄便座。便座の洋式化のなかで、温水洗浄便座に傾きつつある気もするのだが。

最終更新:6/21(金) 11:30
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