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名作漫画『のだめカンタービレ』はこの“汚部屋”写真から始まった

6/19(水) 7:05配信

FRIDAY

2001年に漫画誌「Kiss」で連載がはじまり、その後、ドラマに映画にと次々実写化され、日本中にクラシック音楽旋風を巻き起こした人気漫画『のだめカンタービレ』。個性豊かな音大生たちの音楽にかける情熱をコミカルに描いた、笑いあり涙ありのコメディー漫画だ。

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主人公はピアノ科に通う野田恵(愛称:のだめ)。天才的かつ独創的な才能にあふれるのだめは、同じ大学に通い指揮者を目指すイケメン男子・千秋真一に思いを寄せる女の子。家はゴミ屋敷のよう、「風呂は1日おき、シャンプーは5日おき」というだらしない生活。「ぷぎゃー」「ぎゃぼー」と奇声を放ち不可解な行動を起こしては、大好きな千秋に「変態」と罵られーー。

そんな破天荒キャラ・のだめに、実在するモデルがいたことはファンの間では有名な話。「その女性は一体どんな人?」「著者・二ノ宮知子先生との関係って?」「本当に汚部屋に住んでいる?」ネット上でさまざまな疑問の声が飛び交う中、その事実を突き止めるべく取材を申し込んだところ、なんと本人が応じてくれることに!

自身がモデルとなった漫画が爆発的に大ヒット。豪華キャストによるドラマ化と映画化。その様子をどんな思いで見つめていたのだろうか。今まで誰も知ることのなかった“のだめ”本人・野田恵さんに、著者・二ノ宮知子氏との出会いや当時の心境を伺った。

◆きっかけは、「ゴミ屋敷のような部屋でピアノを弾いている」一枚の写真

ーー現在はどんなお仕事をされていらっしゃるのでしょうか。

音楽大学卒業後、福岡県大川市でピアノ講師をしています。

ーー著者・二ノ宮知子氏との出会いは?

高校生の頃から先生の漫画が大好きで、先生の公式HPを通じて、ファン同士の交流があったんです。ある日、みんなが家に遊びに来ることになったんですが、あまりの部屋の汚さに「のだめの部屋って……」と驚いた友人が、写真を撮って帰ったんですよ(笑)。後日、その友人が写真を先生に見せたのがきっかけだったと思います。

ーーその後、どのような経緯で『のだめカンタービレ』が誕生したのでしょうか。

その写真を見た先生が、私たちファンを自宅に招いてくださり、確かお酒を飲みながら、そんな話(漫画のモデルになる)になったような気がします。ずっと先生のファンだった私はとにかく緊張していて。ほとんど上の空状態で、正直あまりよく憶えていません (笑)。

後から聞いた話だと、その時の私はというと、靴に穴があいている、手袋も片方しかしていない、小銭しか持たずに電車に乗り、初対面なのに帰りのタクシー代を出してもらったりと、なかなかのインパクトだったらしいのです。

ただ、先生の自宅に行くとき、迎えにきてくれたご主人のPOMさん(ミュージシャン)が、真冬なのにアロハシャツを着ていたので、お互い様だと思っています(笑)!

ーー実際に出来上がった作品を読んだとき、どんな気分でしたか?

発売日の夜中、コンビニに走ったのを憶えています。夢を見ているような気持ちで、しばらくポカーンと突っ立っていました。自分のことはさておき、「これすっごく面白いんじゃないの!?」と、1話を読み進めていたら、いちばん最後に「これが俺と野田恵との出会いだった」という千秋のモノローグが出てきて、「名前がそのまんま!!!」と、ものすごくびっくりしたのは今でも忘れられません。

ーー野田さんと電話で話しながら、二ノ宮氏が漫画のアイデアを練っていたという話は本当でしょうか。

はい。先生とは電話でたくさんお話させてもらいました。それはもう夢のような時間でしたが、同時に「私なんかの知識やエピソードが漫画になって大丈夫なんだろうか」と心配でした。

そして、毎回電話をする前は、「こういうことを聞かれるのかな?」と心構えをしていたのですが、いつも私が思いもよらないような質問ばかりで「先生の頭の中はどうなっているの?」と不思議で仕方なかったです(笑)。

ーー作品に出てくる楽曲「おなら体操」「もじゃもじゃ楽曲」「プリごろ太のテーマ」は、野田さんが作曲されたのでしょうか。

私が作曲したのは「おなら体操」ですね。アニメ化の際に「作ってみない?」と先生から声をかけていただきました。以前、福岡で『のだめカンタービレ』の音楽会があったとき、指揮者の茂木大輔さんが「おなら体操」をオーケストラバージョンで演奏してくださったんですが、私の手書きの楽譜が巨大スクリーンに映し出され、感動しつつも申し訳ない気持ちになりました(笑)。

ーー野田さんにとって、千秋真一のような存在は実際にいたのでしょうか。

ざ、残念ながら……。

ーー作品の中で、最も心に残っているシーンは?

いちばんは決められないです!

でも、最初に思い浮かぶのは、最終回の「でも よかったね ふたりとも」というミルヒー(世界的に有名なドイツ人指揮者。千秋の師匠)のモノローグ。あのシーンは、何度読んでも涙が出ます。

あと、のだめが失踪したとき、ホテルの物置部屋で「おなかが痛い」とさみしく独り言をつぶやくシーンは、「そう! のだめはちょっと変かもしれないけど、普通の女の子なんだよー!」と、なんだか可愛くて、切なくてキュンときます。

ーー貴重なエピソードをありがとうございました!

今振り返ってみても、やっぱり夢みたいな感じです。

最終回を迎えてから何年もたった今、このようなお話をいただけたこと、とてもうれしく思います。ありがとうございました。



ゴミ屋敷に暮らすだらしない女の子と、壮大で美しいクラシック音楽。かけ離れた2つの世界を笑いと涙で見事に繋いだ『のだめカンタービレ』。友人が写したなにげない写真が奇跡を生んだ。

何度も「夢のようだった」と繰り返しながら、記憶を辿るように語ってくれたその言葉の端々には、しっかりと“のだめ”が存在していた。

取材・文:大森奈奈

最終更新:6/19(水) 10:33
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