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【昭和の名車 03】いすゞ ベレット1600GTは鋭いハンドリングの個性的な元祖“GTカー”だった

6/19(水) 6:30配信

Webモーターマガジン

いすゞ ベレット1600GT:昭和39年(1964年)4月発売

昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。

【写真】エンジンとインパネやバリエーションを見る

組立車(ライセンス生産)のヒルマンミンクスの後継モデルとして、ベレットがデビューしたのは1963年(昭和38年)6月のこと。曲面に囲まれたコンパクトなボディシェル、そして独特なサスペンションシステムを持ったベレットの走行性が人々の心をとらえた。その秘密は後輪のサスペンションレイアウトにあった。

ダイアゴナルリンクとコイルスプリングを組み合わせ、さらに横置きリーフスプリングのコンペンセータを加えた独立懸架システムにより、ベレット独特の“ふんばりのきく”走行性が生まれたのである。なお前輪はウイッシュボーン/コイル独立懸架となっている。

ミニカー以外のFR車として当時少ない全輪独立懸架を採用したベレットに、スポーティタイプがバリエーションに加えられたのは、むしろ当然といってよかった。

果たして1963年の第10回東京モーターショーで1500GTのプロトタイプが発表された。そして1964年4月にはそれとは別の、より強力なエンジンを搭載した1600GTがデビューした。

これは、2ドアクーペタイプで、ホイールベースは2350mmとセダンタイプと同一だが、車高のみは1350mmと40mm低くなっていた。なお全長は4005mm(セダンは4010mm)、全幅は1495mmである。

この1600GTは同年9月には早くもマイナーチェンジを行い、4灯式ヘッドランプは2灯式+フォグランプへと変わり、前輪にはディスクブレーキが装着されている。

エンジンはG160型と呼ばれる直4OHVの1579ccで、SUキャブレターを2連装して最高出力は88ps/5400rpm、最大トルクは12.5kgm/4200rpmを発生した。

車重は940kgであるから、馬力あたり重量は10.7kg/ps(SAE)とわずかに10kg/psをオーバーしていた。最高速は160km/hで、はじめてスポーツカーの指標ともいえる時速100マイルラインに達した。

フェアレディ1500が当時最速の155km/hとなっていたのを考えると、ベレット1600GTの160km/hという数字の持つ意味がよくわかる。

さらに当時の世界に目を向けて見ると、GTと称する量産タイプは、それほど数は多くなかったが、たとえばイギリスのフォード・コンサル・コルティナGTでは、1.5Lの83.5ps(SAE)エンジンを搭載し、馬力あたり重量は10.4kg/psとベレットGTと全く同一水準だが、最高速は149km/hだった。

BMW1600も、全輪コイル独立懸架でスポーツ性の高いモデルといえるが、そのエンジンは1573ccの94ps(SAE)で、馬力あたり重量は11.2kg/ps、最高速は150km/hとなっている。

ベレット1600GTが、後発メーカーであるいすゞの意気込みを如実に示した作品だったことがよくわかる。後発の企業は洋の東西を問わず、いつも立ちふさがる大企業の壁に挑戦するため、技術的にもスタイルの面でも、常に一歩を先んじた新機軸を示さなくては立ち行かない宿命なのである。

1600GTには、先述の1964年9月のマイナーチェンジとともに1500GTがラインアップに加えられた。1500GTのエンジンはG150型で、直4OHVの1471ccで、SUキャブレターの2連装により、最高出力は77ps/5400rpm、最大トルクは12kgm/4200rpmを発生した。最高速は150km/hである。

ベレット1600GT/1500GTは、“ベレG”の愛称で知られ、リアのスイングアクスル特有のクセのある操縦性を持っていたが、ラック&ピニオン式ステアリングシステムと相まって、当時としては数少ない正確なステアリング特性を示し、その鋭いハンドリングはスポーティ走行の醍醐味を味わわせてくれた。

ただし販売台数はそれほど伸びなかった。それというのも93万円(1600GT)という、車格のより高いセドリック1900あたりと同じ高価格であったためかもしれない。

たしかに1965年になって鳴り物入りでデビューしたスカイライン2000GT(S54)よりも数万円高いのは大きなハンディキャップではあった。それだけにユーザーはマニアックな、個性を重んじる人たちが多かった。つまりトヨタ、ニッサンの多数派ではなく、一匹狼とでも言えるだろうか。

ベレット1600GTは細部変更・改良を繰り返し、少数ながらも健闘したが、ハイパワー化の波には抗しきれず、ベレットGTRへと進化してゆく。ともかく、日本で“GT”の名称はこのクルマからスタートした。独特のエキゾーストサウンドとともに記憶に残る1台である。

いすゞ ベレット1600GT 主要諸元

・全長×全幅×全高:4005×1495×1350mm
・ホイールベース:2350mm
・車両重量:940kg
・エンジン型式/種類:G160型/直4OHV
・排気量:1579cc
・最高出力:88ps/5400rpm
・最大トルク:12.5kgm/4200rpm
・トランスミッション:4速MT
・タイヤサイズ:5.60-14 4PR
・車両価格:93万円

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最終更新:6/19(水) 6:30
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