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レア写真:世界最高峰エベレストの威容、空からパノラマ撮影

6/19(水) 7:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

 エベレストが撮影されたのは、1903年の英国人将校による写真がおそらく最初だ。以来、写真家たちは、この世界最高峰を象徴する写真を撮ろうと、あの手この手で挑んできた。エベレストの巨大な山体のスケール感と、この山がヒマラヤの風景の中でどのような位置にあるかを1枚の写真で同時に表現することはほぼ不可能だ。

ギャラリー:エベレスト、頂上付近の大渋滞 写真6点

 プロの登山家で、映像制作者でもある39歳のレナン・オズターク氏は、今年、ナショナル ジオグラフィックのために、まさにそんな写真を撮影しに出かけた。目指したのは、特殊な改造を施したドローンを使ってエベレストの威容を描き出しつつ、この山がどれほど驚異的な風景を見渡しているかを示すことにあった。

 そんなわけでオズターク氏は、標高7020m、頂上までの標高差1800mほどのノースコルで、薄い空気にあえぎながら氷点下の寒さに震えていた。8カ月がかりの計画は、この瞬間のためにあった。ドローンのバッテリーが酷寒に耐えて写真を撮影できる時間は、計算上15分しかないことがわかっていた。彼はかじかんだ手でドローンを空に飛ばした。プロペラが甲高い音を立てて回転した。

 オズターク氏がエベレストでドローンを飛ばすのは、これが初めてではない。彼のチームは何度も挑戦しては、そのたびに失敗していた。「風が強すぎると、ドローンはたちまち制御が利かなくなってしまいます」と彼は言う。「上昇気流や下降気流のせいで、ときどき、フルスロットルで下降しようとしているのに上昇を続けたり、その逆になったりすることがあるのです。まさに風のなすがままです」

 オズターク氏は両極端の条件に備えていた。ヒマラヤに出発する前には、米国カリフォルニア州にある気圧を調節できる施設でドローンを飛ばし、エベレストの薄い空気にどこまで対応できるかを確認した。また、ドローンメーカーのDJIと協力して、ある種の安全機能を解除して、ドローンがより速やかに下降でき、パイロットからより離れた場所で動作できるようにした。そこまで準備しても困難が予想された。「この手のフライトに最初に挑戦するときには、うまく行くのかどうか、確実にはわかりません」と彼は言う。「発見の予感と恐怖の感覚の両方が常にあるのです」

 日が沈みはじめ、気温が低下してくる中、オズターク氏はエベレストの上空にドローンを飛ばした。計算では、ドローンのバッテリーは、1800m上昇し、1分間ホバリングして360度ショットを撮影し、大急ぎで帰還するのがやっとだろうと考えられた。計算は正しかった。

 ドローンを回収した彼は、カメラの粗い画像を確認した。「これ以上ないほど興奮しました。こんな鳥瞰図にはめったにお目にかかれません。一見、衛星写真のようですが、衛星写真のように無機質ではありません」

 オズターク氏の写真は、歴史ある山岳写真・地図を一歩先へ進めるものになりそうだ。1950年代にナショナル ジオグラフィックがエベレストのオリジナル地図を作成する際、航空写真家のパイオニアだったブラッドフォード・ウォッシュバーン氏がエベレストの航空写真を撮影した。「彼はエベレストにここまで近づき、ここまで詳細な写真を撮影することはできませんでした」とオズターク氏は言う。「彼がこの新技術を知ったら大喜びしたでしょう」

 オズターク氏は、今回の写真を撮影できたのは科学のおかげだと考えている。「実際、これは技術の勝利なのです。私たちはドローンの潜在能力を引き出したにすぎません」

文=Sadie Quarrier/訳=三枝小夜子

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