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フォトグラファーが氷山の写真に「刺しゅう」を施した理由

6/19(水) 8:14配信

WIRED.jp

氷山は、地球温暖化の影響を自然界で最初に受ける。そしてたいていの場合は、地球温暖化がもたらした影響そのものを現しているだろう。そもそも氷山は、溶け出した氷河から分離してできたものだからだ。

一見するとプランクトンの写真。 実は...

写真家のエイドリアン・ヒューズは、気候変動を裏づける科学の力を認めてはいる。しかしこうしたデータは、この惑星で温暖化が進みゆく現状に直面したわたしたちの喪失感を伝えきれていないと考えていた。

「危機にひんしている出来事について語るなら、自分ならではの道具を使うことが重要だと思います」と、ヒューズは言う。そして彼女は特別な“道具”を使って、グリーンランドの氷山を記録した一連の作品「Quilted Icebergs」を唯一無二の存在に仕立てている。

写真プリントに針と糸

通常なら風景写真家の道具箱には、キルティング用の針や糸は入っていない。しかしヒューズは、キルティング用の定規を使って、ジオメトリックな放射線や星型、曲面を、9×12インチ(約23cm×約30cm)の写真プリントに刺しゅうする。

こうした刺しゅう作品は、作家ヘンリー・デイヴィッド・ソローの作風に見られるような、自然に対する超越的な理解を表しているのだとヒューズは言う。氷山のある風景を通り抜ける風や音を表現しているのだ。

彼女が選んだ用紙「ハーネミューレ フォトラグ 308gsm」は、その効果を引き立てている。「細心の注意を払って選ぶひと切れの布のようなものと言えます。大きさはキルティングに用いるフープと同じぐらいで、まさにキルティング職人が使うサイズです」と、ヒューズは語る。

刺しゅうの背景となる写真を撮影するため、ヒューズはグリーンランドに20日間滞在し、グリーンランドの東沿岸にあるスコアズビー・スンド・フィヨルドに出かけて行き、そこで1日4~5時間過ごした。

グリーンランドの氷山を撮影する写真家たちは、8人乗りのゴムボートで氷山に到着すると、大急ぎで撮影を始める。しかし、氷山に囲まれる体験はスピリチュアルで、瞑想しているようだとヒューズは語る。

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最終更新:6/19(水) 8:14
WIRED.jp

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