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八雲と松江の絆:小泉八雲記念館とヘルン旧居を訪ねて

6/19(水) 15:32配信

nippon.com

松江時代の教え子たちが建てた記念館

松江城の北側に、江戸時代の城下町・松江の姿を色濃く残す「塩見縄手」という通りがある。武家屋敷風の建物が並ぶその西端に、小泉八雲記念館はたたずむ。「ヘルン先生」と慕った教え子やゆかりの人が結成した八雲会によって建てられ、1934年に松江市に寄贈された。

「ハーンが東京大学の教壇に立つと、松江時代に接した中学の教え子たちが、再び教え子となったのです。ハーン亡き後、彼らが街頭募金までして資金を集め、松江に小泉八雲記念館を建ててくれました。そうした人とのつながりにおいても、ハーンと松江は縁深いのです」(小泉館長)

記念館の隣には、八雲夫婦が5カ月生活した「小泉八雲旧居(旧称:ヘルン旧居)」もある。その家の持ち主も八雲会の創立メンバーで、旧居の保存に努めただけでなく、記念館の土地も提供した。2016年にリニューアルされた記念館は、町並みになじんだ和風の外観だが、内部はモダンかつ斬新な展示室となっている。

第1展示室は八雲が見聞し、影響を受けたものを中心に展示。ギリシャで生まれアイルランドで育ち、英国や仏国、米国、カリブ海の島に渡り、そして日本で生涯を終えるまでのさすらいの人生を順々に紹介している。第2展示室では八雲の実績や精神世界を「ジャーナリズム」や「教育」などのテーマごとに掘り下げ、第3展示室では期間限定の企画展示を主に開催している。

展示パネルと共に飾られるのが、執筆時に使っていた机や椅子、旅行かばんやキセル、自筆原稿に長男・一雄に英語を教えた時の走り書きやイラストといった八雲の遺品である。それらも、東京で再会した松江中学の教え子たちが、東京の小泉家から譲り受けて八雲会に寄贈したものがメインとなる。

「ハーンが実際に使っていた遺愛の品を100点以上展示しています。そして、松江出身の俳優・佐野史郎さんとギタリストの山本恭司さんが、山陰地方の怪談話を朗読と音楽で表現した『再話』というコーナーも目玉です。実際に目で見て、耳で聞き、ハーンの世界観に思いをはせていただけたらと思います」(小泉館長)

八雲と家族の写真を飾った階段を上がると、2階には著書や関連書籍をそろえたライブラリーと講演会やワークショップを開く多目的スペースがある。

「外国の方もたくさん訪れます。先日はアイルランドの研究者が一週間毎日通って来て、ライブラリーで1日中書籍を読みあさっていました。当館で初めてハーンを知ったという人も多いのですが、みんな『面白い人がいたんだね』と喜んで帰ってくれます」(小泉館長)

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最終更新:6/19(水) 15:32
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