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月収2万円低い「就職氷河期世代」 政府の就職支援策は有効か

6/19(水) 8:13配信

NIKKEI STYLE

《連載》デンシバ Spotlight

政府は6月、30代半ばから40代半ばの就職を支援する方針を示しました。この世代は高校や大学を卒業する時期に深刻な不況に見舞われ、企業が採用を絞り込んだため「就職氷河期世代」と呼ばれています。政府は職業訓練の強化などにより安定した雇用を増やすとしていますが、実現は可能でしょうか。

氷河期世代は一般的に1970年から82年生まれを指し、全体では2300万人超います。バブルが崩壊した90年代の半ば以降、就職の厳しい時期が長く続きました。文部科学省の調査によると、大卒の就職率は91年に81%でしたが、氷河期の底ともいわれる2000年ごろには50%台半ばまで低下しました。

新卒採用の時期にとどまらず、以降も雇用状況が好転しなかったのが氷河期世代の特徴です。正社員への道が長く閉ざされたため、30~40歳代になっても非正規雇用の比率が高止まりしています。給与の面でも厳しく、連合総研が16年に発表した報告書によると、氷河期世代である40~44歳の大卒者の平均賃金は前の世代に比べ月2万円も少なくなっていました。

氷河期世代の最年長は50代にさしかかります。日本総合研究所の下田裕介副主任研究員は「未婚の増加ときょうだい数の減少により、氷河期世代には親の介護が集中しやすい」と心配しています。下田氏は、同居する親の介護で生活が困窮する可能性のある氷河期世代の最年長層が、33万人いると試算します。絶対数も人口比も前の世代より多くなると見積もっています。

政府はこうした問題も見据え、氷河期世代の正規雇用を3年で30万人増やす目標を掲げました。具体的な支援メニューとしては職業訓練の拡充などを挙げていますが、専門家の見方はどうでしょうか。

労働経済学者で東大准教授の近藤絢子氏は「訓練が有効な層もいるが、何十万人もの正規雇用を確保するという考え方には無理がある」とみています。企業の立場からすると、氷河期世代より働く期間の長い若者の訓練や処遇改善を優先するのが自然だからです。実際、18年の大卒や高卒の初任給が過去最高を記録した一方、30代以上の給与は伸び悩んでいます。

氷河期世代にターゲットを絞ることにも懐疑的な見方があります。横浜市でホームレスなどを支援する寿支援者交流会の高沢幸男事務局長は「若者の野宿者が増え出したのは08年のリーマン・ショック以降」と話しています。氷河期世代の後も若者の非正規雇用の比率が高い時期は続きました。「不遇の世代が再び生まれないよう、雇用制度のあり方を考える必要がある」(日本総研の下田氏)といえそうです。

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最終更新:6/19(水) 9:29
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