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米国で加速する「顔認識技術」のルールなき利用は、すでに“臨界点”を超えている

6/19(水) 12:32配信

WIRED.jp

議会で支持された「顔認識の規制」を求める提案

法学者やプライヴァシー擁護の活動家、アルゴリズムのバイアス研究者、生え抜きの法執行官たちからなる公聴会の専門家集団も、この意見に大いに賛同した。議会が十分な制限・規制を定めた法案が可決し、透明性に関する基準が設けられるまで、政府による顔認識システムの利用を停止するよう、その場の大多数が求めたのである。

1年前であれば、議会でこのような急進的な提案がされるなどばかげていると思われたかもしれない。しかし、これと同じような規制案がすでにサンフランシスコ議会で通過している。カリフォルニア州オークランドやマサチューセッツ州サマーヴィルなどの都市も、これに続くとみられている。

「合衆国憲法修正第4条では、顔認識によるプライヴァシーの侵害から国民を保護できないでしょう」。ワシントンD.C.にあるディストリクト・オブ・コロンビア大学ロースクール教授のアンドリュー・ファーガソンはこう証言した。「リアルタイムのテクノロジーがもつリアルタイムの脅威に対応するには、個別の法規制を実施するしかありません。法規制を導入すれば、勢力や精度を増していく監視システムから目を離すことなく、将来にわたって国民のプライヴァシーを保護できることでしょう」

もはや顔認識技術は黎明期ではない

近年の事件や発見から発覚したことが、いくつかある。ひとつめは、顔認識技術が広範にわたって採用されていること。ふたつめは、きちんとした監督がなされず、システムの運用者や仕組みに関する高い透明性が確立されていなければ、大きな問題が生じうるということだ。

5月16日にジョージタウン大学の研究者たちが発表した調査書によると、シカゴとデトロイトが顔認識監理システムを購入済みだという。どちらの市も、このプラットフォームを利用していないと発表していたにもかかわらずだ。

ジョージタウン大学の報告では、さらにニューヨーク市警察による顔認識システムの不適切な使用の証拠が示されている。警察官らが似顔絵や容疑者に似ている有名人(ウディ・アレルソンなど)の写真を顔認識システムに読み込ませ、実際には無関係の画像から犯人を特定しようとしていたのだという。

ほかの事例も紹介しよう。今年4月、顔認識システムによってブラウン大学の学生アマラ・マジードが、イースターにスリランカで起きた教会爆破事件の容疑者と誤認された。また、ニュースサイト「Colorado Springs Independent」が5月22日付で報じたところによると、2012年2月から13年9月にかけて、コロラド大学コロラドスプリングス校の研究者らが、顔認識データベースをトレーニングするという政府出資事業の一環として、学生や通行人の写真を無許可で撮影していた。

さらにNBCニュースが5月の初めに報じたところでは、写真の保存・シェアアプリ「Ever」が、ユーザーの膨大な数の写真を収集し、顔認識システムのトレーニングに利用していた。ユーザーの積極的同意を得るどころか、公表すらされていなかったのだ。

「この分野の専門家たちはみな、ずっと以前から誤認識の可能性を指摘してきました。不適切な使用についてもです。犯罪の発生後に事後的に使われるのみならず、監視状態をつくり出すことになる危険性も以前から予測されていたことです」と、ジョージタウン大学プライヴァシー&テクノロジーセンターを創設しセンター長を務めるアルヴァーロ・ベドヤは言う。「そして、予測していた事態が現実のものになりつつあります。顔認識技術が黎明期にあると主張する人は、調査不足としか言えません」

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最終更新:6/19(水) 12:32
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