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サイボーグにとってのウェルビーイング:WHO IS WELL-BEING FOR〈2〉

6/19(水) 18:11配信

WIRED.jp

ウェルビーイング──それは果たして人間だけのものなのか。巷で語られる人間中心的なウェルビーイングから思考を解放し、その概念を広げてウェルビーイングとは何かを考えてみよう。その考えを経ることで見えてくる、人間にとってのウェルビーイングがあるはずだ。そのために、サイボーグにとってのウェルビーイングとは何か、「人類を超える可能性」を探求し、サイボーグ技術でクリエイティヴィティが身体に制限されない世界の実現を目指す、MELTINの粕谷昌宏に訊いた。

ウェルビーイングを超えたその先へ

人間の所与の条件には限界がある

人間と機械を融合させるサイボーグ技術を研究開発し、人間から機械への入力はもちろん、機械から人間への感覚のフィードバックも視野に入れているぼくにとって、ウェルビーイングという概念に対してまず思うことがあります。

それは、人間の身体や脳といったハードウェア、ソフトウェアは、ウェルビーイングを実現するために最適なものではないのではないか、ということです。

ぼくは常にクリエイティヴィティというものを中心にものを考えるのですが、人間が発揮したいクリエイティヴィティが十全に実現される状態をウェルビーイングと呼ぶとすれば、身体も、そしてそれを取り巻くテクノロジーも、追いついていないのではないでしょうか。

例えば、アウトプットに関して。ぼくは映像制作を趣味にしているのですが、映像をつくるとき、すでに自分の頭のなかで思い描いている映像があります。それをカメラやCGを使うことで、理想的なイメージに近づけようとする。

しかしよく考えれば、これは本末転倒なんです。なぜなら、自分の頭のなかではすでに映像ができているわけですから。なぜ重たいカメラを持って走りまわったり、10本の指を動かして撮った映像を編集したりしなければならないのか。

人間のハードウェア、ソフトウェアがウェルビーイングに対して制約があるというのは、こうした事態を指しています。発揮したいクリエイティヴィティに、ぼくたち自身がついていけていない。そもそも人間の所与の条件だけでは、ウェルビーイングを達成することが難しいのではないか、ということです。

一方のインプットも同様です。人間が自分で触れることができるものは、かなり限られている。「沸騰するお湯で入る露天風呂はどんな気持ちなんだろう」ということはわかりようがないし、宇宙飛行士に「真空状態にいる感覚はどのようなものですか」と尋ねても、宇宙服や宇宙船の中で保護されているので答えようがない。

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最終更新:6/19(水) 18:11
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