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カーオーディオ“専用”アクセサリーは何が違う? オーディオテクニカに聞いたこだわり設計

6/19(水) 6:00配信

PHILE WEB

ホームオーディオにおいて、アクセサリーが担う役割の大きさはいまさら語るまでもないだろう。ケーブルはシステムの “血管” に例えられるように、プレーヤーやアンプ、スピーカーといった花形と並ぶメインパーツとして考えられている。

では、カーオーディオにおいては、どうか? もちろん重要であろうことは疑うまでもないが、なにせ家の中と車内では環境が大きく異なる。ホームオーディオと同じようでいて、また違ったこだわりがあるのではないか。

そこで、「Rexat(レグザット)」シリーズに代表される高品位なカーオーディオ専用アクセサリーを取り扱うオーディオテクニカに話を聞いた。答えていただいたのは、国内営業部 モービルサウンド課主務の鈴木大輔氏と、同じくモービルサウンド課の石橋昌侑氏だ。

■耐熱性能を備えることがカーオーディオ専用アクセサリーの大前提

ホームオーディオではアクセサリーはただ音を出すための道具ではなく、音質向上を目指す上で欠かせない重要なファクターだが、そこは「カーオーディオとホームオーディオの違いはありません」と鈴木氏。「私達もただのアクセサリーではなく、アンプやプレーヤーと同じように1つのコンポーネントとしてご提案していますし、ユーザーの方もそういった認識でアクセサリーを選んでいらっしゃいます」と、アクセサリーが重要であることにやはり変わりはないようだ。

では、ホームオーディオにおけるアクセサリーとカーオーディオ専用アクセサリーの違いについて尋ねると、大きくは耐熱性能の違いに集約されるという。

クルマというのはノイズの塊であり、温度変化も激しい。極めて厳しい環境だ。そこで使用されるアクセサリーには、耐熱や耐振といった仕様に大きなこだわりがある。「耐熱素材を使わないと、ケーブルが溶けてしまう、といったことも起こりえます。耐熱性能が社内基準を満たしていて、かつ音に悪影響のない素材を、新しく出てくる素材も含めて模索しながら最適な音を追求しています」と石橋氏が説明してくれた。

オーディオテクニカのカーオーディオ専用アクセサリーは幅広いラインナップを揃えるが、なかでも「Rexat」シリーズはその最上位になる。USB接続時に間に挟む形で使用することでノイズを除去するサウンドコントロールアダプター「AT-RX97USB」や、電源供給を安定したものとするパワーレギュレーター「AT-RX100」などが揃うが、ホームオーディオファンにも馴染み深いのは、やはりケーブルだろう。

「Rexat」シリーズのフラグシップ「プレミアムライン」は、特約店専売モデルとしてオーディオケーブル「AT-RX5500A」、スピーカーケーブル「AT-RX5500S」の2モデルをラインナップ。AT-RX5500Aは導体に高純度銅「7N-Class D.U.C.C.」が、AT-RX5500Sには「7N-Class D.U.C.C.」とOFCのハイブリッド導体が採用されている。

この7N-Class D.U.C.C.は、ハイエンドフォノケーブルなど同社のホームオーディオ製品にも使用されているものだが、実は採用したのはモービルサウンド部門が先なのだという。高音質化のアプローチについては、カーオーディオ製品とホームオーディオ製品で共通する点もあるわけだ。

しかし、同じ導体を使えたとしても、他に考慮すべき課題があるのがカーオーディオ製品だ。

「例えばケーブルであれば、車内を這わせることができるよう引き回しを考える必要があり、どうしても太さ/硬さに制限がかかります。プラグに関しても限られたスペースであることを考慮し、弊社では基本的にショートプラグを採用しています。このように温度環境などだけではなく、過酷なインストール条件にも耐えられる水準であることがカーオーディオのアクセサリー開発では求められます」(石橋氏)

「Rexat」シリーズで言うならば、先の “耐熱” に加え、 “制振” にも非常に力が入れられている。なぜなら、クルマというのは鉄の塊であるため、外来ノイズの温床となってしまう。よってアクセサリーには相応の制振対策も求められることになる。

ケーブルではシースやシールドによる対策が必須となる。それというのも、ケーブル内部の導体が微細な振動をしてしまうからだ。導体の品質のみならず、信号が流れる際に起こる微細振動を抑制することが、音質面での優位を生み出す。また導体と制振素材の組み合わせによっても音質に影響がある。耐熱と制振、導体選定といったあらゆるノウハウの相乗効果があって、高音質が実現できる。

ただでさえパイプや電線が複雑に張り巡らされている車内において、オーディオケーブルを端子から端子へストレスなく接続することは一筋縄ではいかない。ホームオーディオではありえない角度で曲げられることも往々にしてあり、そのために屈曲試験もこだわって行っているという。インタビューでは実際にAT-RX5500Aを手に取らせてもらったが、シルク編組シースのケーブルは何層もシールドが施されているとは思えないほどしなやかで、取り回しに優れていることが実感できた。

もちろん、通常のオーディオアクセサリーにおいてもそうした試験は行われているが、カーオーディオに設定される基準はさらに高い。それを超えたものだけが、ユーザーが安心して使用できる製品として市場に提供されている。これはD/Aコンバーターなどにおいても同様で、音質に加えて耐熱性能が大前提として開発が行われているそうだ。

最近はホームオーディオ向け製品も小型化が進み、クルマに持ち込んで活用できるものが増えてきたが、車内に放置して耐えられるかどうかは別の話。例えば、昨今ではDAPを車内プレーヤーとして繋ぎっぱなしにするケースがよく見られると思うが、これも本来は故障のリスクを高める恐れがあり、気をつけるべき使い方というわけだ。

■二人三脚でもDIYでも、それぞれの楽しみ方を実践できる

話を音質面に戻そう。カーオーディオにおいて音質向上に向けて取り組む場合、「まずスピーカーユニットから、という方が多い」と石橋氏。これは音の変化が体感しやすいこともそうだが、デジタル化が進んだカーオーディオの中で、手をつけやすいパーツであることも関係しているという。音の出口であるスピーカーを交換するのは王道とも言えるが、カーオーディオではそこに“デッドニング”がセットとして考えられる。

クルマのドアにユニットを取り付ける際には、鉄板であるドアに防振処理を行うことで、音質向上を狙うことができる。こうしたデッドニングは、スピーカー購入とワンセットにしてメニューを設けるショップも多い。ユニットを購入・インストールする際に、ショップに相談をすれば適した内容を提示してくれるはずだ。

さて、スピーカーユニットの交換およびデッドニングの次は、スピーカーケーブルにこだわりたくなるのが流れとしては自然だろう。ただ、スピーカーケーブル以外にも効果的な部位として、「オーディオケーブルを変更した際の音の変化が大きい」と石橋氏が教えてくれた。実際にオーディオテクニカが用意するデモカーではオーディオケーブルを付け替えての比較試聴が行えるが、体感した誰もが変化を認めるという。

また、カーオーディオならではの問題として、クルマの乗り換えがある。クルマは車種ごとに構造が大きく異なり、配線に必要なケーブル長も変わってくる。短く済むならともかく、より長さが必要となれば買い直すほか無い。車内に広く設置されるスピーカーまで複数本引き回さなければならないスピーカーケーブルは、特にその影響を受けやすいのだ。

その点、オーディオケーブルは主にメインユニットとアンプの間など、大きくシステムを変更しない限りは接続する場所と距離がほぼ変わらず、使い回しがきく。これもまた、システム構築の第2、第3ステップで視野に入れるアクセサリーとして挙げる理由の1つだ。このあたりの優先順位は、最終的にどこまでカーオーディオに手を入れるかで検討していけばいい。

もちろんこれら以外にも、アクセサリーは多種多様に存在する。近頃の海外車はカーナビなどを汎用規格ではなく独自設計にしてしまっていることが多いそうだが、そうした純正モデルではライン出力を備えていないこともある。その際に外部アンプを利用するには、スピーカー出力をライン出力に変換するハイ/ローコンバーターを用いるが、そこにも多くのモデルがラインナップされる。

先程のデッドニングにも吸音材に防音材、制振材などいくつものアクセサリーが活用される。そして、アクセサリーのインストール作業では各ショップ、さらに言うなら担当者が自身の持つノウハウに合わせてそれぞれに効果的な方法を実践している。どのアクセサリーをどう使うのかで、パーツが同じでも得られる結果は大きく異なる。

一方で、デッドニング用パーツキットなども単売されているので、DIYで楽しむこともできる。カーオーディオ趣味の方がその工程をネットに上げ、それを参考に作業を進めるという方も増えているとのことだ。

インストーラーとクルマを二人三脚で作り上げていくという楽しみ、同じ車種やサウンド傾向を求めるユーザー同士がコミュニケーションをとって試行錯誤していく楽しみ、それぞれがカーオーディオの醍醐味と言えるだろう。

さらに鈴木氏は「軽自動車や大型のボックスカーなど、車種問わず幅広い方が取り組んでいらっしゃいます。オーディオのためのクルマ選びをされたり、あえて軽自動でどこまで音を出せるかを追求する、など様々な楽しみ方ができるのも魅力ではないでしょうか。いかに快適に、楽しくドライブできるかをライフスタイル提案するのがカーオーディオだと考えています」と加える。

ホームオーディオは、せっかくのシステムを鳴らせる部屋が確保できないことがネックになりがちだ。しかし、クルマであれば、もちろん常識的なボリュームの範囲でだが、それでもホームオーディオよりも音漏れのハードルが低く、自分だけのリスニングルームが手に入る。しかもどこにでも行けるから、同好の士との交流もやりやすい。

クルマを移動手段として、必要だから利用している方も多いだろう。そういった方が何気なく流しているBGMの音質を良くすることができれば、それはそのまま、ただの移動手段だったクルマの中がエンターテインメント空間になることにつながる。こういった音質向上に向けてはアクセサリーが大いに役立つだろう。

ホームオーディオとカーオーディオは別と捉える方もいるが、どちらも音楽を楽しむという根底は変わらない。これまでのノウハウが活きる部分もあれば、新しい考え方を取り入れる必要もある。だからこそ、趣味として面白い。この面白さを味わうためにも、まずは手軽なアクセサリーから、音の変化を体感してみてはいかがだろうか。

編集部:押野 由宇

最終更新:6/19(水) 6:00
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