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角田陽一郎×古市憲寿「社会の無意識の願望とフィクションはリンクしている」

6/19(水) 6:20配信

週プレNEWS

『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。

今週は『絶望の国の幸福な若者たち』などの著作で知られ、論客としてメディアに引っ張りだこの古市憲寿(ふるいち・のりとし)さんが登場!

* * *

──映画はお好きですか?

古市 好きですね。ただ、作品に没入して感動したりするタイプではないですね。だから映画で泣いたことは一回もないです。

──あ、そうなんですか!

古市 はい。映画、ドラマだけじゃなく小説でもないですね。

──小説も!?

古市 残念ながら。

──さすが『誰の味方でもありません』ですね(笑)。

古市 逆に僕の書いた小説で泣いたと言っている人を見かけると、とても不思議な気分になります。作者が泣いてないのになんでだろうって。

──(笑)。映画館にはよく行かれますか?

古市 基本ひとりで見に行くことはなくて、複数人で行きますね。編集者とか俳優とか、物語に興味のある人と一緒に行くので、終わった後に「あそこのシーンが......」と分析しあうんです。それぞれ見方が違うから面白いんです。

──単純にレクリエーションとして見るというより、やっぱり社会学者的な目線で映画を見ているんですね。だとすると、「作品と社会のあり様」みたいなものって意識されます?

古市 「なんでこの作品は生まれたんだろう」とは考えますね。たとえば『君の名は。』(2016年)は3・11があったから生まれた「やり直しの物語」だと思います。

同じ時期に公開された『僕だけがいない街』(16年)もそうですが、社会の無意識の願望とフィクションは切っても切り離せない。物語には実際に起こってしまった悲劇の救済という役割があると思います。

──なるほど。

古市 あと、『君の名は。』で気になったところといえば、「(カフェ ラ・)ボエム」かな?

──ああ、主人公の男の子がバイトしてるイタリア料理店ですね。

古市 東京のおしゃれなカフェという描写としてボエムが採用されたのは興味深かったです。どちらかとえいばバブル期や、90年代のトレンディドラマのイメージがありますよね。四谷に住んでいる高校生のリアルなバイト先ということらしいです。

──社会の空気とフィクションの話に戻すと、02年に有名なドキュメントバラエティ番組がふたつ終わってるんですよ。これって、僕の中で9・11が影響していると思っていて。

あの映像ってフィクション以上だったじゃないですか。あんなもの見せられたら、もうウソのドキュメンタリーなんて作れなくなっちゃう。そのあたりから『金スマ』も「波乱万丈」とかやるようになって、リアル路線に変わっていったんですよね。

古市 それで言うと、『シン・ゴジラ』(16年)のシーンが部分的にiPhoneで撮影されているのは、なるほどなって思いました。つまり、僕らは今、iPhoneで撮影されたのっぺりした動画にこそリアリティを感じているんだなと。

例えば何か事件が起きたとき、テレビだと現場に行ってから、三脚を立てて、ちゃんと画角を決めて撮ってるわけですよね。そのように作り込まれた映像は、よくできているけど、あまり生々しさを感じない。それよりも視聴者投稿のスマホ撮影の動画のほうがリアルだなという感情を抱いてしまいます。

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最終更新:7/8(月) 15:07
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