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ヤクルト・村上宗隆が急激に覚醒した理由/デーブ大久保コラム

6/20(木) 11:06配信

週刊ベースボールONLINE

 オープン戦での打撃フォームと打席でのボールの対応を見ていたら、今シーズンは苦労するだろう、ホームラン打者になるには1年かかるだろう、と思っていました。以前にもこのコラムで紹介したヤクルトの村上(宗隆)のことです。

【動画】村上、バックスクリーン中段まで運ぶ豪快な15号ソロ!

 6月9日のオリックス戦(神宮)でとてつもない大ホームランを放ちましたし、札幌ドームでの日本ハム戦ではあの広い球場のバックスクリーンに持っていく力強いホームランを放ちました。

 前回(連載150回)は「打撃のときに始動の遅さが気になる。早めにしっかりと始動を取って、ゆっくりと構えてボールを待っていればいい打者になる。それができれば筒香(智嘉)クラス、もしかしたら松井秀喜級のバッターになる可能性がある」とお話ししたはずです。

 あれから約2カ月。遅かった始動が今ではかなり早くなっています。早めの始動でしっかりと形を作り上げ、ボールが来るのをじっくり待っています。この2カ月でそう簡単に身につくものではありません。もともと、小さいときから自分の中にあるボールを待つタイミングを変えなければいけないのですから。それができているのです。始動が早いことで、遅いボールは前ですくえばいいという考えにもなっているのではないでしょうか。

 前回は石井琢朗打撃コーチが始動が遅いのも分かっていて、試合に出場させているのだとお話ししました。でも、この2カ月のどこかのタイミングで、始動を早めにすることを助言したはずです。そこから練習で体にたたき込んでいったのでしょう。

 2008年に西武の打撃コーチとして指導していたとき、サンペイ(中村剛也)もまったく同じ状態でした。始動が遅かったのです。それを徹底的に早くしていきました。これをつかめば、5年間連続で35本塁打以上を打つ打者になると確信していました。実際この年46本塁打を放ち本塁打王を獲得しましたが、サンペイが、始動を早くして、投手の投球をじっくり待つというタイミングをつかんだと思ったのは、この08年のレギュラーシーズンではありませんでした。

 ようやくつかんだなと思ったのは、この年の巨人との日本シリーズでした。第4戦で放った2本のホームランを見たときです。村上は、サンペイの倍以上の速さで進化しているので、めちゃくちゃびっくりしています。

 ひとつ気になる点は、バットが少し寝た状態でボールをとらえるところ。ホームランを打つときはバットが立ち過ぎでもダメで、寝過ぎてもダメという細かい部分なのですが、一軍の打席で経験を積むことで徐々にいい角度になると思います。

 6月19日時点で打点リーグトップですよね。村上には今年1年、打率を求めてはいけません。とにかくボールを遠くに飛ばすことに専念してほしい。それだけでファンを魅了してくれますし、その先に本塁打王と打点王が待っているはずです。

PROFILE
大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。

週刊ベースボール

最終更新:6/29(土) 19:27
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