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車は1人1台が当然の地域で免許返納した78才男性 揺れた心

6/20(木) 16:00配信

NEWS ポストセブン

「安心安全だけやないんですね。自転車で走っていると、今日は風が強いなぁとか、花の甘いにおいがするなとか…近所の人と話す機会も増えたりして、車をやめていろんなことに気がつくようになりました」

 笑顔でそう話すのは、今年2月に運転免許証を返納した大畠信雄さん(78才)。

 大畠さんは和歌山県紀美野町で妻(76才)とふたり暮らし。近所に娘(46才)家族が暮らしている。製鉄会社を定年まで勤め上げた傍ら、息子(49才)が中学2年生時に統合失調症を発症したことがきっかけで『和歌山県 精神保健福祉家族会連合会』を設立。同会の副会長として、患者だけでなく当事者家族の支援のため、相談や勉強会、講演などの活動を続けている。趣味は家庭菜園とスキーで、自らを健康優良児ならぬ「健康優良爺」と称するほど、病気知らずのアクティブな日々を送っている。

 大畠さんが暮らす紀美野町は和歌山県北部に位置し、人口1万人弱、町の総面積の75%を森林が占める緑豊かな町。バスは朝夕が30分に1本、日中は1時間に1本。最寄り駅まではそのバスに揺られて25分、片道510円かかる。1人1台の自動車保有が当たり前で、高齢者比率が約44%の同町には(全国平均は約27%)、紅葉マークを付けた車が多く、大畠さんも例外ではなかった。

「現役時代、通勤は車。車の免許を持っていない家内の外出時の送り迎えやスーパーの買い物、入院している長男の面会や外泊時の送り迎え、家族会の活動など、返納まではほぼ毎日のように車に乗ってました」(大畠さん・以下同)

 そんな大畠さんが返納を考えたのは1年前のこと。

「夕飯のあとやったかなぁ。なんでもない時にね、妻がふと『免許返納したら?』って言うたんです。サラッとそう言われて、『え!? なんで? なんでぼくが?』って。ショックでそれ以外の言葉が出なくて」

 というのも、運転には自信があったからだ。29才で免許を取得して以来、半世紀近く無事故無違反のゴールド免許。前回の免許更新時に受けた高齢者講習では100点に近い点数で合格していた。

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最終更新:6/20(木) 16:00
NEWS ポストセブン

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