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氷河期の絶滅ハイエナを発見、北極圏に進出していた

6/20(木) 18:54配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

極北カナダで見つかった化石から判明、最新研究

 かつて、ハイエナは極寒の北極圏にも暮らしていたことが、カナダ北西部で発見された歯の化石から判明した。ハイエナたちは約100万年前の草原でトナカイやマンモスを捕まえたり、それらの死肉を食べたりしていたようだ。

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 オンラインジャーナル「Open Quaternary」に6月18日付けで発表された論文によると、1970年代にカナダのユーコン準州オールドクロウ川流域で発掘された化石2点は、これまでで最も北に位置するハイエナの痕跡だという。従来は同地から約4000キロ南下した米国カンザス州の化石が最北端だった。

 ユーコン準州で発掘された歯の化石はいずれも、絶滅したハイエナの仲間Chasmaporthetes属の個体。この絶滅ハイエナは、140万年前から80万年前にかけて、今より過酷だった北極圏に暮らしていたと考えられている。

 研究を率いた米ニューヨーク州立大学バッファロー校の古生物学者ジャック・ツェン氏は「これらの化石が発掘されたことで、ハイエナがいたとみられる地理的、生物学的な生息域が広がりました」と話す。この発見は同時に、古代のハイエナがユーラシア大陸から極寒のベーリング地峡を渡って北米大陸に達した証拠でもある。

「旅を終えて息絶えたかもしれませんが、一帯を通過していたことは確かです」

先史時代には70種のハイエナがいた

 現生のハイエナは4種で、生息域はほぼアフリカだ(一部アジアにも生息)。低地の暖かく乾燥した環境に適応している。しかし、先史時代には約70種のハイエナが生息し、北半球の全域に分布していたことが知られている。

「現生種だけを見ても、ハイエナの多様性の10%以下しかわかりません」とツェン氏は話す。

 ツェン氏によれば、Chasmaporthetes属は現代のハイエナより長い四肢をもち、おそらく足の速さも狩りの腕も勝っていたという。死肉を食べ、強力な歯と顎で骨をかみ砕いていただけでなく、トナカイやウマ、さらにはマンモスなど、北極圏の動物を捕まえていた可能性もある。

「おとなのマンモスを仕留めていたとは思いません。それはすべての肉食動物にとって偉業ですから」とツェン氏は話す。「しかし、現代のブチハイエナは若いゾウを倒すことができます。Chasmaporthetes属の狩りを解明するうえで、この能力は参考になると思います」

 ツェン氏らはさらに、北極圏のハイエナはマンモスやケブカサイと同じように毛深く、現代のホッキョクウサギやホッキョクギツネと同様、季節に応じて毛の色を変えていたのではないかと考えている。

「北極圏のハイエナが毛むくじゃらで、雪の中でも狩りができるよう、冬毛をまとっていたとしても不思議ではありません」

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