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自閉症スペクトラムの発症には「ジャンクDNA」の突然変異が影響していた

6/20(木) 8:11配信

WIRED.jp

自閉症は「ジャンク」領域の突然変異で表面化?

分析結果によると、自閉症患者の「非コードDNA領域」には、家族のメンバーと比べて多くの突然変異がみられたという。研究者らはこれらの制御機構の突然変異が、逆にどの遺伝子に影響するのかを調査した。すると、そのほとんどがシナプス伝達およびニューロン発達に強く関連する脳機能の遺伝子であることが判明した。

なお、それらの突然変異のなかには、以前の研究で特定された自閉症関連の遺伝子もあった。しかしそれらの突然変異は、孤発性自閉症患者の30パーセント未満だったと同論文では報告されている。研究チームによると、今回新たに発見された「ジャンクDNA」領域の突然変異は、より多くの自閉症関連遺伝子を検出するだろうとのことだ。なお、このような突然変異は、胚と同様、精子細胞と卵細胞で自然に起こり得るものである。

「これは非遺伝性の非コードDNA変異が、複雑なヒトの疾患または障害を引き起こすことを示した最初の研究です」と話すのは、プリンストン大学コンピューターサイエンスおよびゲノミクスの教授であるオルガ・トロヤンスカヤ博士だ。「この知見は、自閉症だけにとどまりません」

また多くの医師は、すべての自閉症患者が同じ症状をもつわけではないという理由から、一般的な診断を下すのを避ける傾向にある。これに対して共著者のプリンストン大学ルイス・シグラー総合ゲノム研究所のチャンドラ・テスフェルド博士は、「遺伝子学的には同じように見えます」と説明している。これらの研究成果は、自閉症スペクトラム障害の診断に役立つことになるという。

疾患の原因を全ゲノムから掘り起こすAI技術

これまでの研究で「非コードDNA」領域の分析は、どの突然変異が機能的であるのか、さらにそのどれが自閉症スペクトラムの表現型に寄与しているか認識するのは非常に困難だった。

今回使用されたディープラーニングのアルゴリズムは、部分的な「非コードDNA」から、生物学的に関連性のある部分の識別方法を学習する。さらに、その部分的な「非コードDNA」が、どのように遺伝子発現を変化させるかを予測し、それぞれの突然変異を機能的影響力の順にスコアを割り当てた。

またこの研究では、アルゴリズムの正確性を検証するため、いくつかの「非コードDNA」変異の影響を実験している。ディープラーニングで予測された機能的影響力の高い「非コードDNA」の突然変異を細胞に組み込み、遺伝子発現の変化を実験的に確認することで、このモデルの正確性を裏付けたのだ。

「この手法は、あらゆる疾患を解析するうえでの土台を提供するでしょう」と、トロヤンスカヤ博士は言う。「疾患の根底に横たわる、あらゆる原因を理解するための革新的技術なのです」

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最終更新:6/20(木) 8:11
WIRED.jp

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