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『ViVi』自民党広告で炎上 甘利明氏と講談社の接点!?

6/20(木) 16:24配信

週刊金曜日

 講談社の月刊誌『ViVi』が6月10日、自民党の新たな広報戦略「#自民党2019」とのコラボレーションで始めた広告企画をウェブ上で発表した途端に“炎上”した。同誌の主要読者対象である若い女性向けにウェブ上で「みんなはどんな世の中にしたい?自分の想いを #自民党2019 #メッセージTシャツプレゼント のハッシュタグ2つをつけてツイートすると、メッセージTシャツがもらえるよ!」(10日付の同誌公式ツイッターアカウントより)と告知した記事広告(版元側が作成した記事だが、スポンサー=この場合は自民党=が広告費を払って内容に関与)をめぐり、参院選間近ということもあり「特定の政党に肩入れするのか」「Tシャツ配布は公職選挙法に抵触するのではないか」といった批判を世間全体から浴びる格好となった。

 講談社といえば女性誌のほかコミックや文芸、さらには『週刊現代』『FRIDAY』などを発行しつつ政権批判にも果敢に挑んできた伝統を持つ雑誌ジャーナリズムの雄でもある。その講談社にしてなぜそうした企画を通してしまったのかとの批判が起こるのも無理からぬところだが、当の『ViVi』はこの騒ぎに関しては当初から完全に沈黙。講談社広報室も外部からの取材に当初「政治的な背景や意図はまったくございません」と回答(『毎日新聞』ウェブ版11日付)し、逆に自民党側の「批判も含めたいろんな声が出ることは想定していた」(同前)との思惑に乗ってしまったことをさらに批判されて以降はこちらも沈黙状態。小説『美しい顔』の類似表現問題を本誌(4月12日号と5月17日号)で報じた私の取材申し込みには「岩本さんの取材はお断りします」とたちまち電話を切る始末だった。なお本誌編集部から今後の同企画の予定などを広報室に尋ねたところ「さまざまなご指摘を踏まえてTシャツを配布するかどうかについては改めて検討中です」などの回答があった。

【ダウンロード違法化拡大問題で接点が生まれた?】

 それにしても講談社がなぜこうした企画を引き受けたのかについては、すでに背景を憶測する声が出始めている。前記「#自民党2019」の責任者は同党衆議院議員で現在は選挙対策委員長を務める甘利明氏だが、同氏はコミックなどのいわゆる海賊版対策をめぐり今春議論を呼んだ著作権法改正による「ダウンロード違法化」対象範囲拡大問題(本誌2月15日号参照)では自民党の知的財産戦略調査会長として関わっていた。

 一方の講談社は前述の通りコミックも含めた出版業界の代表的な企業(経団連にも加盟)で海賊版の影響を最も受ける立場にもあり、同社の野間省伸社長がこの問題でも内閣府の知的財産戦略本部の会合を通じて関わっていた。ただ野間氏は2月に行なわれた講談社の決算報告会の席上、対象範囲拡大について「著作者の創作意欲を委縮させるようなことがあってはならない」と慎重な姿勢を表明。このあたりから世論の流れも「範囲拡大反対」に傾き、最終的に著作権法改正案提出が今春は見送られた経緯がある。今回の『ViVi』記事広告の背景には、このあたりで自民党と講談社の間に何らかの関わりが生まれたこともあるのではないか(同社広報室は問い合わせに対しこれを否定)。

 もとより背景としては雑誌全体の退潮に伴なう出版業界の苦境も指摘されよう。『ViVi』も例外ではなく、現在の実売部数は6万3681部(日本ABC協会による2018年7~12月発売号調査データより)と、数十万部を誇った往時の勢いは見る影もない。ただ『ViVi』は他方、近年ではネットを使った若い女性層への訴求に成功し、それを広告営業面でも上手く活用した雑誌でもある。それだけに、若い有権者たちにアピールしたい自民党にそこを上手く活用された格好と言える。その意味では講談社に限らず、今後は他の出版社でも同様の事態が持ち上がる可能性を否定できない。きわめて悩ましい問題を今回の騒動は提示しているとも言える。

(岩本太郎・編集部、2019年6月21日号)

最終更新:6/20(木) 16:24
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