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【面白すぎる日本映画】降旗康男監督と高倉健が組んだロードムービー『あなたへ』

6/20(木) 15:01配信

サライ.jp

文・絵/牧野良幸

今回は5月に惜しくも亡くなった降旗康男(ふるはた・やすお)監督の作品を取り上げてみたい。高倉健主演の『あなたへ』だ。

降旗監督は高倉健と組んで、数々の映画を製作してきた。そのなかには『駅 STATION 』『鉄道員(ぽっぽや)』などヒューマニズムあふれる作品も多い。

2012年に制作された『あなたへ』もヒューマニズムあふれる作品だ。これが高倉健にとって最後の主演作でもある。

高倉健が演じるのは、富山の刑務所で働く指導教官の倉島英二。映画は刑務所の全景を映したあと英二の回想シーンで始まる。妻の洋子(田中裕子)がまだ生前に、ベランダの風鈴に息をあてて鳴らしているシーンである。

風鈴の音を聞いた英二は、妻に言う。

「いい~音!」

この高倉健の言い回しが、いきなり素敵である。滲み出る素朴さが高倉健の魅力のひとつと思うけれども、同時に健さんなりの“人なつっこさ”が滲み出ていて、早くも、健さん、いいなあ、と思ってしまうのだ。

話を進めよう。ある日、英二のもとにNPO法人“遺言サポートの会”のスタッフが訪れる。洋子が死ぬ前に預けていた英二宛の手紙を持参したのだ。一枚の手紙には、灯台と小鳥の絵。そこにはこう書かれていた。

“あなたへ 私の遺骨は故郷の海へ撒いて下さい”

そしてもう一枚の手紙は英二には直接渡されず、洋子の故郷である平戸の郵便局留めに送ると言う。英二がそこに行き受け取ってほしい、というのが妻の意思だった。

洋子の真意は分からなかったが、英二は指導教官の職を辞して平戸に向かうことにした。洋子の残したもう一通の手紙を受け取るために、また洋子の遺骨を故郷の海へ撒くために。

旅に使うのは車内で衣食住ができるよう改装したワンボックスカーである。洋子の生前に二人で旅をしようと改装していた車だ。これを完成させると英二はひとり富山を出発した。

こうして映画はロードムービーとなる。

英二が出会うのは、キャンピングカーで日本中を放浪する元国語教師(ビートたけし)、物産展に出店している二人(草なぎ剛と佐藤浩市)、到着した平戸の漁港では、食堂を営む母(余貴美子)と娘(綾瀬はるか)など。それぞれ人生に何らかの問題を抱えている人たちだ。

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最終更新:6/20(木) 15:01
サライ.jp

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