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死の危険もある「誤嚥性肺炎」を防ぐたった1つの方法

6/20(木) 6:05配信

幻冬舎plus

中村健太郎

「審美」「インプラント」「矯正」には要注意! そう警鐘を鳴らすのは、歯学博士の中村健太郎さんだ。人生100年時代、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)のカギとなるのが「歯の健康」。いくつになっても自分の歯で食事をするには、どんなことに気をつければよいのか? 最新の知見が満載の著書『噛む力』より、重要なポイントを抜き出してみました。*   *   *

真の原因は「食塊形成」ができないこと

近年は肺炎が、日本人の死因の上位として知られるようになりました。そして驚くことに高齢者の肺炎の7割以上が誤嚥性肺炎というデータがあります。

誤嚥性肺炎は、食べ物がうまく飲み込めず誤って気管に入ってしまい、その際に口腔内細菌が一緒に入り込んで感染するために起こります。このように、誤嚥性肺炎の主な原因となるのが、うまく飲み込めないことイコール嚥下障害です。

では、嚥下障害を引き起こす原因はご存じでしょうか? さまざまなメディアで、「飲み込むために必要な、喉の筋力が低下していること」が最大原因なので筋力を鍛えようという説が広まっていますが、実はそうではありません。誤嚥を引き起こす最大の原因は、口の中で噛んだ食べ物をひとかたまりにする「食塊形成」がうまくできないことにあるのです。

口の中に食べ物が入ってくると、歯によって食べ物を粉砕し、唾液と混ぜることで、ひとかたまりの「食塊」を形成します。その食塊を喉へと送り飲み込むわけですが、喉はその奥で空気を肺へ送る気管と、食べ物を胃へ送る食道に分かれています。

人間の体はとてもよくできていて、喉の入口部分には、喉頭蓋という弁があり、飲み込む際に喉頭蓋が気管の入口をふさぐことで、食べ物は気管に入ることなく、食道へと流れていきます。このような弁の開閉は、食塊が上顎の奥に当たることによる機械刺激がスイッチとなって、刺激反射として起きるものです。意識的に喉の筋肉を動かすのではなく、無意識の反射によって自動的に通路が開くのです。

では、食塊形成がうまくできないとどうなるでしょう? 咀嚼した物をひとかたまりにできなければ、少しずつダラダラと飲み込むことになりますよね。

ところが喉頭蓋がいつまでも気管をふさいでいると窒息してしまうため、生きるために必要な体の反応として、気管への入口を開け呼吸をしようとします。

このとき口にまだ食べ物が残っていれば、空気と一緒にその一部が気管に送られることになります。すると奥にあるセンサーが食べ物を感知して防御システムが働き、咳き込んで排出しようとしますが、うまく排出できずそのまま奥へ入り込んでしまうことがあります。それが誤嚥というわけです。

つまり誤嚥を引き起こす主な原因は、食塊形成がうまくできないこと。決して「飲み込む力が弱い」からではありません。誤嚥を防ぐために大切なのは、ひとかたまりの食塊にして飲み込むことなのです。

「喉の筋力を鍛えて誤嚥性肺炎を防ぐには、カラオケがいい」という話を耳にされた方もいるかもしれませんが、残念ながら、それは誤嚥性肺炎の予防にはつながりません。

ただ、カラオケに出かけることには、外に出て人と交流し、ストレスを発散して楽しい時間を過ごすという、別の健康増進効果があります。特に高齢の方はどんどん実施して、健康長寿に役立てていただくといいでしょう。

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最終更新:6/20(木) 6:05
幻冬舎plus

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