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メルカリ、相次ぐ新事業撤退は「新陳代謝」か「衰退の始まり」か

6/20(木) 15:10配信

Forbes JAPAN

フリマアプリサービスのメルカリが、ライブ動画配信サービスの「メルカリチャンネル」を2019年7月8日15時で終了すると発表した。

同サービスは商品の出品者と購入者がアプリ上のライブ動画を通じて、商品説明や質問、感想といったコミュニケーションを交わしながら売買する仕組み。アパレルEC(電子商取引)業界で、高い集客力と販売増に結びつくと注目されているライブコマースサービスだけに、突然の撤退に業界内でも驚きの声があがっている。

成長性が高いライブコマースの中止に衝撃

メルカリはこれまでも2018年5月に地域コミュニティーサービスの「メルカリアッテ」、同8月に即時買取・現金化サービスの「メルカリNOW」、ブランド品に特化したフリマアプリ「メルカリ メゾンズ」、知識・技能の販売プラットフォーム「teecha」の3事業を、2019年1月には旅行事業参入の橋頭堡と見られていた旅行記アプリ「メルトリップ」を相次いで終了してきた。スタートアップ企業らしい「新陳代謝」ともいえるが、ネット上では様々な憶測を呼んでいる。

第1に「経営資源の適正化」だ。メルカリ流に言えば「インパクトのある事業に乗り出すため」、分かりやすく言えば「採算性の高い事業へのシフト」ということになる。メルカリは2018年6月に東証マザーズ市場へ上場し、初日に公募価格(3000円)の2倍に当たる最高値の6000円まで上昇した。しかし、上場後初の決算発表で大幅赤字が明らかになると株価は急落。同11月には、ついに公募価格だった3000円を下回った。

同8月の「メルカリNOW」、「メルカリ メゾンズ」、「teecha」の3事業を一斉に中止した理由は、この「経営資源の適正化」だった可能性が高い。だとすれば「経営資源の適正化」というよりも「不採算事業からの撤退」の方が、より実態に近いだろう。

利用者トラブルや先発との競合も

第2に「利用者のトラブル」だ。CtoC(個人間)取引となるフリマアプリだけに、出品者・利用者から「不心得者」が出てくるのは仕方がない。運営側であるメルカリも、そうした不正利用を防ぐ手立てを講じているが、抑えきれなくなれば社会問題化するリスクがある。サービス終了も止むを得ない。

地域コミュニティーサービスの「メルカリアッテ」は、近隣地域の人たちと直接会ってフリマや友達づくり、相談などのマッチングをするサービスとして立ち上げた。しかし、異性との出会いを求める投稿が相次ぎ、「出会い系アプリ」化する。

さらには高給のアルバイト募集が、実は商品やサービスのセールス勧誘だったという詐欺まがいのエントリーも。メルカリはこうした不正投稿を常時監視して削除したが、「無法地帯化」に歯止めがかからずサービスを終了したのではないかとの指摘もある。

メルカリは不正利用による苦情やトラブルが「メルカリアッテ」終了の利用ではないとしているが、不正利用多発が同サービスのブランドイメージを毀損したのは間違いなさそうだ。

第3に「先発サービスとの競合」だ。旅行予約・販売サービスには「楽天トラベル」や「ブッキングドットコム」、「エクスペディア」はじめ強力な先発サービスが多数存在する。「メルトリップ」は競合を避けるため、いきなり旅行商品を取り扱わず、先ずは個人の旅行体験を投稿してもらうことで旅行好きが集まるネットコミュニティーの構築を狙った。

ネットコミュニティーが固まった後で、彼らを対象にした旅行商品の予約や付帯サービスなどの販売に乗り出す戦略だった。「メルトリップ」は利用者が旅先で撮った写真を投稿すれば地図情報上に旅程の形で自動的にまとめられ、旅先での思い出や現地情報などを共有できるアプリだったが、実はすでにここにも強力なライバルが存在していた。

国内だけでも3300万人以上が利用している画像共有SNSの「インスタグラム」である。「メルトリップ」は旅行に特化したという優位性はあったが、よほどの旅行好きでない限りは年に数回程度の体験にすぎない。ならば日常使いの「インスタグラム」で用は足りるし、発信力も段違いに高い。加えて「インスタグラム」の利用者が、メルカリと同じ若年層に多いこともマイナスに働いた。

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最終更新:6/20(木) 15:10
Forbes JAPAN

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