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大阪でトランプは「適当なところで中国と手打ち」に舵を切るか?

6/20(木) 10:00配信

現代ビジネス

 28~29日には大阪で、G20首脳会議が開かれる。37もの外国首脳、国際機関の長がやってくる。

「同時崩壊」もありえぬ事ではない韓国・北朝鮮の苦しい現状

 安倍総理は全体会議を主宰するだけでなく、ホスト国として多数の2国間会談もすることになる。外務省、警察、市役所、その他関係の部署は、各国代表団・大使館との連絡、そして警備等でてんてこ舞いだろう。

 だがこの会議で、何がどう変わるのか? 目の付け所はどこにあるのか? 
 G20首脳会議というのは、2008年リーマン金融危機を受け、米国オバマ大統領の主導で始まったフォーラムだ。

 1999年から開かれていた20カ国・地域財務相・中銀総裁会議に、首脳レベルの会議をのせたかっこうで、金融危機後の世界の結束を固めようとしたのだ。G7だけでなく、当時、伸長著しかった中国を初め、世界諸地域の主要国を国際協調に引き込むために、このG20というのは効果を発揮した。

 しかし、国連の安保理事会の常任理事国数を増やすかどうかの議論でも問題になったように、20カ国という数は多すぎる。最高権限を持った首脳が集まれば、何事も簡単に決まると思うかもしれないが、20カ国もの首脳がわずか数時間一緒に坐っていたところで、実のある議論ができるはずがない。

 事前に20カ国の役人達が数カ月にわたって時には集まり、時にはメール等で作り上げる、会議の成果文書も、20もの参加者の言い分をまともに入れていたら絶対まとまらない。結局、当たらず触らずの「お経」(日本の役人の使う表現で、結構なことが書いてあるが実行不能という意味)に止まる。

 G20首脳会議も発足後数年で勢いを失い、結局のところ、いろいろの国の首脳と2国間会談をするのに便利な場、というところで落ち着いてしまった。誰も、もうやめようとは言わないので続いている――そんな感じだ。

トランプの貿易戦争の「戦後処理」

 公式のサイトを見ると、今回のG20首脳会議のテーマは世界経済、貿易・投資、イノベーション、環境・エネルギー、雇用、女性のエンパワーメント、開発、保健ということになっている。

 これでは何のことがわからない。この会議でやって欲しいことを、もっとかみ砕いて言えば、次のようになる。

 まず、トランプがめちゃめちゃにした戦後の政治・経済世界体制に、ルールを確立してほしい。

 トランプは、戦後の体制は同盟諸国等に一方的に利用され、米国ばかり貿易赤字や産業の空洞化に苦しんでいる、これを直して米国の取り分を増やしたい、と言っている。

 それならそれで話はわかるので、戦後の体制のどこをどう直し、これからどういうルールでやっていくのか、コンセンサスを作らないといけない。そうしないと、世界はばらばらになってしまい、エゴと力が支配する荒くれの世界になってしまう。

 米国はそろそろ大統領選の季節で、来年のG20首脳会議ではトランプは出席するかどうかもわからないから、今回のG20首脳会議での合意は重要だ。

 もう1つ、ロシアや中国は国家資本主義を放棄しないだろうことを踏まえ、そうした国々と市場経済諸国との経済取引のルールを定めるべきだ。

 冷戦時代のように、両陣営の間で一定の経済取引は行われるだろうが、先端技術の移転等、安全保障に関わるものは制限するべきだ。国家資本主義諸国は、とかく自分の専制主義的制度、そして行動様式を外部に及ぼそうとするからだ。

 次に、AI、ロボットによって生産性が飛躍的に向上するこれからの世界に、どう対処していくか、方向を示して欲しい。

 生産性が向上すれば、働かなくとも生活できる者の数は増え、それは経済・社会政策上、新たな問題を生む。

 そして生産性が飛躍的に向上するなら、話題のMMT(Modern Monetary Theory:紙幣を大量に発行して景気を刺激しても、現代の先進国ではインフレは起きにくいとする「理論」)が言うように、いくら紙幣を印刷して低所得層に配っても、インフレは起きないかもしれない。

 そして世界の文明は、AI以外にも新しい領域へと分け入りつつある。ロシアの青年の間でさえ見られるように、世界の青年達は文化的にも同一化しつつあり、狭い国家意識を捨てつつある。彼らの関心は環境問題等、自分達の生活に直接関わる、地球に共通した問題なのだ。

 それは、小惑星が地球に衝突するのを各国が協力して防ぐ技術を開発するようなことにつながる。

 「自由貿易」がどうしたこうしたの理屈ではなく――経済強国はいつも自由貿易を説き、経済弱者は保護主義に訴えるという、しょせん力くらべの問題だ――、もっと大衆の胸にすとんと落ちるような、そして夢のあるプロジェクトを提示してもらいたい。

 しかし世界のマスコミは、全体会議には目を付けていないだろう。米中、米ロ首脳会談があるかどうか、そしてそこから何が生まれるかということに、世界の関心は集中する。

 日本国内では、「イランを訪問して米国との仲介をする」はずだったのが、日本のタンカーへの襲撃ですっかり面子を失った安倍総理が、「外交の安倍」というイメージをどこまで回復して、夏の参院選につなげることができるか、日中・日ロ首脳会談から何が出てくるか、日韓首脳会談は行われるのか、そこで文在寅大統領は徴用工問題について何か意味のある収拾案を示してくるのか、また中東からの原油供給についてどういう保証が得られるか、日本はホルムズ海峡に自衛隊を派遣するかどうか、ということに関心が集中するだろう。

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最終更新:6/20(木) 10:50
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