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トニー賞女優も振付で参加! 「ひょうきん族」「いいとも」の構成作家が新たに挑む“日本総狂宴ステージ”

6/20(木) 7:20配信

ザテレビジョン

ずばり「日本」をテーマに、殺陣、歌舞伎、日本舞踊、コンテンポラリーダンス、タップダンス、さらにはミュージカルといった“アナログ”な舞台芸術と、数々のビデオコンテンツの制作を手掛けてきたクリエイター集団・Moment Factoryによる“デジタル”アートが渾然一体となったエンターテインメントショー「KEREN」が、現在大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA・WWホールにて公演中だ。

【写真を見る】「KEREN」より、赤忍者vs黒忍者の対決シーン。デジタルアートと生の体技が融合したアクションシーンは、まさに“けれん”味たっぷり!

ザテレビジョンでは、「KEREN」の脚本・演出を手掛ける高平哲郎と、振付を担当するバーヨーク・リーの両氏にインタビュー。これまで「オレたちひょうきん族」(1981~1989年、フジテレビ系)や「笑っていいとも!」(1982~2014年、フジテレビ系)など数多くの人気番組の構成を手掛け、近年は演劇の分野で精力的な活動を続ける高平氏と、ブロードウェイ・ミュージカル「コーラスライン」のオリジナルキャストにして、2017年にアメリカ演劇界最高の栄誉であるトニー賞を受賞したリー氏に、空前絶後の“関西発マルチメディア・ノンストップアクトショー”「KEREN」に懸ける意気込みを語ってもらった。

■ 「『KEREN』が好きすぎて既に7回見ているという日本のファンもいるんですよ」

──今年(2019年)2月25日にステージが開幕してから、まもなく4カ月が経とうとしています。ここまで公演を続けてきて、いかがですか?

高平哲郎:こういうロングランの公演は、やる方も見る方も慣れていないので、いろいろと手探りな部分はありますね。ともあれ、インバウンドの人(※旅行で日本に訪れる外国人)や、東京をはじめとする国内の他の都市の人たちがどれだけ来てくれるか。それがこれからの課題です。

今回、キャストがAグループとBグループの2班に分かれているんだけど、公演が始まって1カ月くらい、Aグループのオリジナルメンバーが出演している間に、Bグループの人たちも練習を重ねてすごくレベルが上がったんですよ。おかげで、うまくローテーションを組めるようになって、みんなしっかり休養が取れるようになった。それはすごくいいことだと思います。ただ、みんなステージに立ちたいから、休みたがらないんだよね(笑)。それはうれしいことなんだけど。

バーヨーク・リー:キャストのみんなは、初期の頃からすごく変わってきたと私も思います。最初は正直、Bグループの方は心配だったんですけれど、今やしっかりレベルを上げてきている。そんな彼らを見るだけでもうれしいですね。

高平:あと、これは初日のときに思ったことなんだけど、やっぱり欧米人のお客さんの方がリアクションがいいなと。僕が狙っていたところで、声を上げて驚いたり、笑いが起こったり、拍手が来たり。それは気持ちよかったですね。

リー:でも、今回東京へ来て、「KEREN」を見たという日本人の女性の方とお話しする機会があったんですが、評判はとてもいいですよ。中には、「KEREN」が好きすぎて既に7回見ているという方もいて。

高平:それはありがたいな。

リー:海外の方も、もちろんすごく楽しんでいると思うけれど、日本人のお客さんも、リアクションが大きくないだけで(笑)、十分に楽しんでくれているんじゃないかしら。

高平:われわれ大阪の人間からするとね、東京のお客さんも“海外の人”に近いものがあるから(笑)。

■ 「振付=バーヨーク・リー、タップ振付=HIDEBOH、殺陣=島口哲朗。この三本柱のコラボをうまいバランスで仕上げていくことを心掛けました」

──「KEREN」の振付は、バーヨーク・リーさんのほかに、タップ振付をHIDEBOHさん、殺陣を島口哲朗さんが担当されていますが、今回バーヨークさんは、具体的にどのような振付をされていったのでしょうか。

高平哲郎:去年(2018年)の夏、7月から8月半ばくらいまで掛けて、バーヨークにまず骨組みを作ってもらいました。そして年が明けて1月に、彼女に日本に来てもらって、3週間くらいメンバーを指導してもらって。その後少し間が空いて、5月の末にまた来日してもらって、レッスンを再開しました。彼女はとにかく忙しい人だから、アトランタで「サウスパシフィック」、それが終わったらスペインで「コーラスライン」、という具合にスケジュールが詰まってるんですよ。

バーヨーク・リー:今年の初めに日本に来たときは、まだ映像が出来上がっていなかったんですが、5月に来たときには完成していて、その素晴らしさに感動しました。そんな映像をバックに流しながらのダンス、しかも、私とHIDEBOHさん、島口さんの3人による振付ですから、ブロードウェイでも見られないオリジナルのダンスになっていると思います。実際、ステージを見たら、当初イメージしていたよりもずっとハイレベルなものになっていて、私としても非常に満足しています。

高平:僕は以前から、HIDEBOHの見事なタップは映画「座頭市」(2003年/北野武監督)で見ていたし、島口さんの殺陣のすごさも映画「キル・ビル」(2003、2004年/クエンティン・タランティーノ監督)で知っていたけど、3人と直接作業で関わることはなかったので、この三本柱のコラボを、うまいバランスで仕上げていくことを心掛けました。

今年1月の段階でのバーヨークのレッスンというのは、90分間筋トレだったんですね。で、4月に入ったあたりから、演出家としてはステージの中身を作る時間が欲しいから、筋トレは1時間にしよう、とみんなにお願いしました(笑)。でも、いまだに出演者たちは全員、毎日1時間は筋トレをしてますよ。

リー:ダンスレッスンはもちろん大事なんですが、それと同じくらい、体づくりもとっても大切なことなんです。この「KEREN」は、10の物語を70分間休憩なしで見せていくので、ずっと踊り続けなければならない。相当なスタミナが必要になりますから、体をつくることにも重点を置きました。

■ 「海外で『KEREN』が『KARAOKE』と同じくらいポピュラーな言葉になったらいいなと(笑)」

──高平さんは、公演が始まる前のインタビューで、「どこから読んでも楽しめる雑誌みたいな舞台にしたい」とおっしゃっていましたが。

高平哲郎:演出家というのは、雑誌の編集長と同じだと思うんですよ。振付師、ダンサー、そして映像、音響、音楽という、あらゆるスタッフ、キャストがやっていることをまとめて、いわば一冊の雑誌にする、というのが演出家の務めですから。その意味で、当初の目標は達成できていると思います。

さっき、バーヨークから「7回も見てくれたお客さんがいる」という話があったけど、偉そうなことを言ってしまうと、ショーというものは、リピーターが付かなければ価値はないと僕は考えていて。何度も楽しめるステージにするにはどうすればいいかということも、今回すごく考えたし、そのあたりはバーヨークとも相談しました。

──公演タイトルの「KEREN」は、元々、歌舞伎などの伝統芸能における“奇抜さを狙った演出”という意味の「外連(けれん)」という言葉に由来しているものだと思うのですが…。

高平:ええ、そうですね。転じて、「邪道」とか「はったり」という意味もあります。

──バーヨークさんは、以前のインタビューで「“KEREN”という言葉の意味は、“クリエイティビティに制限を掛けない自由さ”だと解釈している」とおっしゃっていました。一方、作・演出の高平さんは、“KEREN”という言葉にどんな思いを込めたのでしょうか。

高平:このプロジェクトは最初、劇場のコンセプトでもある「COOL JAPAN」を合言葉に動き出したわけですけど、僕がまず思ったのは、歌舞伎をフィーチャーしたいなと。そこで思い浮かんだのが、僕が歌舞伎の作家の中で一番好きな鶴屋南北だったんです。「(東海道)四谷怪談」にしても、「天竺徳兵衛(韓噺)」にしても、変なことばかりするんだよね、鶴屋南北って人は(笑)。「四谷怪談」では、ちょうちんからお化けを出すとか、戸板返しとか、「天竺徳兵衛」では、ガマガエルが出てきたりする。こういうのを全部取り入れたいと考えたときに、象徴する言葉は“外連”しかないなと思ったんですよ。

ただ、実は最初、「外連の国 不思議のニッポン」っていうタイトルを考えてたんだよね。だけどそのうち、もういっそ思い切って「KEREN」でいいんじゃないかって(笑)。今後この言葉が一人歩きして、海外で「KEREN」が「KARAOKE」と同じくらいポピュラーな言葉になったらいいなと思ってるんだけど(笑)。

■ 「タカヒラと一緒に仕事をしたいと思うのは、彼の考えることが面白くてワクワクさせられるから」

──そんな高平さんに対して、バーヨークさんはどんな印象を持っているのでしょうか。バーヨークさんから見た“クリエイター・高平哲郎”の魅力とは?

バーヨーク・リー:まず、発想がとてもユニークですよね。彼と話していると、私では思い付かないような奇抜なアイデアがどんどん出てくる。私がはるばるニューヨークから飛んできてでも、タカヒラと一緒に仕事をしたいと思うのは、彼の考えることが面白くて、ワクワクさせられるからなんです。

また今回特に感じたのは、タカヒラは、古今東西たくさんの映画を見ているということ。「KEREN」にも、ミュージカル映画はもちろん、ウエスタンや日本の時代劇など、いろいろな映画のエッセンスが取り入れられているんですよ。

高平哲郎:今回、黒澤明(監督)の「用心棒」(1961年)にインスパイアされた殺陣のシーンがあるんだけど、そこで、西部劇によく出てくる、荒野に転がる草が丸まったようなやつをステージ上で転がしたいと言ったら、映像チーム(Moment Factory)がそれをちゃんと作ってくれて。あれはぜひ見てほしいですね。

他にも、オープニングの大阪の街のセットは、リドリー・スコット(監督)の「ブレードランナー」(1982年)や「ブラック・レイン」(1989年)みたいな、雨が降っている街並みにしてくれと言うと、すぐに分かってくれる。映画が国境を超えた共通言語になってるんだよね。

■ 「地上波のテレビがつまらなくなったなんて僕は思わない。今が一番面白い、それがテレビだから」

──さて、話はちょっと逸れますが、高平さんは80年代を中心に数々の伝説のバラエティー番組の構成を手掛けてこられました。ザテレビジョンとして、ぜひお聞きしたいのですが、高平さんは最近のテレビをどうご覧になっているのでしょうか。

高平哲郎:正直、今、Amazonプライム・ビデオでHBO(※アメリカの衛星・ケーブル放送局)のドラマばっかり見てるんですよ。暇なときは、海外ドラマを8話くらい続けて見ちゃう。あと、同じAmazon(プライム・ビデオ)でやってる「(HITOSHI MATSUMOTO presents)ドキュメンタル」も面白くて、全シリーズ見てる。とはいっても、地上波の番組も見てますよ。「プレバト!!」(TBS系)なんかは好きで、毎週見てるし。仕事の意識ではなく、単純に面白いと思うものを楽しんで見ている感じですね。

最近は、地上波のテレビがつまらなくなったなんて言われてるけど、僕は決してそうは思わない。僕も関わっていた80年代のテレビが面白かった、という人も多いみたいだけど、それも違うと思う。だって、80年代に60年代のバラエティー番組をビデオで見ても、ちっとも面白くなかったもん(笑)。だから今、80年代に人気があった番組を見たって、絶対に面白くないと思いますよ。今が一番面白い、それがテレビだから。やっぱりテレビって、常に時代と寝ているメディアだからね。

──ありがとうございます。では最後に、「KEREN」の今後の展望をお聞かせください。

高平:ひとまず公演は8月まで続きますが、最初にお話しした通り、とにかく大阪以外の方々に、もっとたくさん見に来てほしいですね。そして公演が終わった後も、大阪以外のどこかで公演できたら、という思いはあります。もちろん海外も含めてね。例えば、この公演を丸ごとどこかの国に買ってもらえたら、この公演に関わってくれた人たちに対する恩返しにもなるし。

バーヨーク・リー:一つのステージに10のストーリーが入った作品というのは、ニューヨークにもラスベガスにもないので、今後も長く続いてほしいという気持ちが強くあります。老若男女、誰でも楽しめる作品なので、世界中の方々に見てほしい。きっと、今までに味わったことのないような面白い体験ができると思いますので、ぜひ大阪まで見に来てください。

※高平哲郎氏の「高」は「はしごだか」が正式表記

(ザテレビジョン)

最終更新:6/20(木) 7:20
ザテレビジョン

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