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「日産」株主総会前にルノーが揺さぶり 足の引っ張り合いの行方は?〈週刊朝日〉

6/24(月) 17:00配信

AERA dot.

 日産自動車が6月25日に開催する株主総会を目前に、大株主の仏ルノーが揺さぶりをかけている。主導権争いが提携関係を揺るがす事態となっている。

 日産では経営トップだったカルロス・ゴーン前会長による会社私物化の不正疑惑が浮上、刑事事件に発展した。日産にとっては企業統治(コーポレートガバナンス)再構築が喫緊の課題。日産は体制刷新のため定款を変更し、総会で承認を得ようとしている。ところが、ルノーはこの議案の議決に棄権すると伝えてきた。

 強大な権限を持つ経営者の独裁や不正防止のため、日産は経営の執行と監督の機能分離徹底が必要と考えた。5月の取締役会は監査役会設置会社から指名委員会等設置会社への移行を全会一致で決めた。総会で承認が得られれば、指名委員会、報酬委員会、監査委員会を設置する。権限分散、チェック機能強化で、例えば経営トップが高額報酬を独断で決めるのは難しくなる。

「取締役会にはルノー指名の代表者も加わり、全員が賛同したにもかかわらず、ルノーからこのような意向が示されたことは大変な驚き。コーポレートガバナンス強化の動きに完全に逆行するもので誠に遺憾」

 西川廣人社長はコメントを発表。ルノーが議決に棄権するのは、委員会メンバーの選任にルノーの意向が反映されていないことがあるようだ。定款変更には議決権ベースで過半数の出席と3分の2以上の賛成が必要になる。議決権ベースで43%を保有するルノー側が出席しても、議決に棄権すると3分の2以上の賛成を得るのは困難だ。

 日産、ルノーとも社内で意思統一が難しくなり「経営の求心力がなくなってきている」とみるのは調査会社カノラマジャパンの宮尾健代表。両社は提携分野で「判断のスピードや質が落ちてきている」と述べ、「足の引っ張り合い」で競争に遅れる懸念もあるという。

 株式市場から日産株を見ると「嫌気される対象で触手しにくい」と話すのは楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジスト。日産株は株価に対する配当利回りが高く、割安の株価水準に放置されているという。企業統治リスクのほか、日産は大株主のルノーやそのバックにいる仏政府の意向もあってか高水準の配当を維持するが、最近の業績がさえないため減配リスクもあるとみる。

 西川社長続投に反対の動きもある。投資家に対して日産株主総会で、ゴーン問題を監督する立場だった西川社長の取締役再任に反対を勧める助言機関もある。(本誌・浅井秀樹)

※週刊朝日  2019年6月28日号

最終更新:6/24(月) 17:00
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