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ゲームの祭典「E3」の役割は終わったのか?

6/21(金) 8:11配信

WIRED.jp

いまや世界最大規模のゲーム見本市となった「E3」が初めて開催された時期は、1995年にさかのぼる。正式には「Electronic Entertainment Expo」と呼ばれるこのイヴェントは、それ以来あらゆるゲーム会社が最新の製品や技術を発表する場として機能してきた。

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ただ、最近はこの傾向に変化が出始めている。大手も含め、このゲームの祭典に参加しない企業が増えているのだ。例えば、エレクトロニック・アーツ(EA)は数年前から出展をとりやめ、代わりに独自のイヴェントを開催している。任天堂はブースはまだ出しているが、かなり前から現場での大規模な記者会見はやらなくなった。

そして、今度はソニーだ。ソニーは「プレイステーション(PlayStation)」という巨大なプラットフォームを抱えるが、今年はE3への参加を見合わせている。いまは開発の最終段階にある「プレイステーション5(PlayStation 5、PS5)」に全力を傾けるときだという判断のもと、卒業する気がまったくない大学生のような微妙なイヴェントを避けたということかもしれない。

はっきりしない費用対効果

企業がE3のような巨大イヴェントへの参加をためらう理由は、いくつかある。まずはコストだ。プレスカンファレンスはもちろん、小さなブースを出すだけでも数十万ドル(数千万円)は必要になる。大手なら数百万ドル(数億円)規模になることも珍しくない。そしてこれだけの金額を投じても、費用対効果はあまりはっきりしない。

PRという意味でどこまで重要なのかも漠然としている。イヴェントそのものは、確かにメディアで大きく取り上げられる。しかし、参加する企業それぞれについては、よっぽど特別な発表があるか、もしくはキアヌ・リーヴスのようなハリウッドスターでも連れてこなければ、それなりの注目を集めることは難しいだろう。

しかも、会場に集まったゲームファンの気に触るようなことでもあれば、SNSであっという間に拡散してしまう。そうなれば火消しは大仕事で、企業がこうしたリスクを避けたいと考えるのは当然だろう。

こうした傾向はゲーム業界だけのものではない。例えば、カリフォルニア州サンディエゴで毎年夏に開かれるコミックや映画の祭典「コミコン・インターナショナル」では、やはり大手スタジオの欠席が相次いでいる。ここ数年でも、20世紀フォックスやルーカスフィルムが顔を出さなくなったほか、今年はワーナー・ブラザースも不参加だという。ワーナーは昨年までは、メイン会場となるホールHの常連だった。

ワーナーは一方で、ニュー・ライン・シネマが主催する「ScareDiego」にヒット作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の続編を出品すると明らかにしている。ScareDiegoは、コミコン初日の前夜に開かれるホラー映画のイヴェントだ。

これに対し、ディズニーはファンイヴェント「D23」で傘下のルーカスフィルムやマーベル・スタジオの作品を宣伝するほか、『スター・ウォーズ』のような人気シリーズではやはり特別イヴェントを開催している。ディズニーほどの巨大メディア企業であれば、特に他社と連れ立って何かをしたいとは思わないだろうし、その必要もないのだ。

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最終更新:6/21(金) 8:11
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