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ヒマラヤの氷河消失が倍の速度に、スパイ衛星で判明、8億人に影響の恐れも

6/21(金) 17:05配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

内側から解けている

 およそ8億人が、灌漑や水力発電、飲料水の一部をヒマラヤの氷河から流れ出す雪解け水に依存していることを考えると、今回の論文は非常に重要であるとともに、憂慮すべき内容だと英リーズ大学の雪氷学者ダンカン・クインシー氏は言う。

 同氏が主催する「エバードリル(EverDrill)」という研究プロジェクトでは、ネパールのクーンブ氷河に深い穴をあけ、氷の温度をモニタリングしている。測定データを見ると、氷河内部の温度が上昇しており、大量の氷がすでに融点に近づいているかもしれない、と同氏は言う。

 2月に発表された報告書によると、化石燃料による排出ガスを大幅に削減しなければ、ヒマラヤの氷は2100年までに64%も失われる可能性があるという。

「地球温暖化により、氷河に覆われた山々の極寒の頂は、100年もしないうちに岩肌に変わってしまうでしょう」。報告書をまとめた国際総合山岳開発センター(ICIMOD)のフィリップス・ウェスター氏はそう述べた。

水不足の恐れ

 多くの氷が解けているせいで、今のところは、暖かい季節に雪解け水が増えている。だが、氷河が消失するにつれて、雪解け水は数十年以内に次第に減ってゆくと予測される。

「アジアは、極端な熱波とヒマラヤからの水の不足という、未曾有の災害に直面しているのです」とシェーファー氏は語る。「私たちが直面している壊滅的な危機を回避するには、社会が問題意識に目覚め、相当額を投じて対策することが必要です」

文=STEPHEN LEAHY/訳=牧野建志

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