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子に思わぬ高額課税が!?「相続税配偶者控除」に潜む落とし穴

6/21(金) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

本連載では、円満相続税理士法人の橘慶太税理士が、専門語ばかりで難解な相続を、図表や動画を用いてわかりやすく解説していきます。今回は、相続税の配偶者控除について見ていきましょう。

1.6億円まで相続税が無税になる「配偶者の税額軽減」

夫婦のどちらか一方が亡くなってしまうことを一次相続といいます。その後、夫婦のうち残された方が亡くなってしまうことを二次相続といいます。

平均余命からすると男性の方が先に亡くなってしまうことが多いですが、夫が亡くなってしまった時に、妻が相続する財産に多額の相続税が課税されてしまうと、今後の妻の生活に大きく支障がでてしまいます。そもそも、夫婦の財産は、夫婦が長年協力して築き上げたものです。「そんな財産に相続税を課税するのはあんまりです」と、いう趣旨のもと、夫婦間の相続には、最低でも1億6000万円まで相続税を課税しない、配偶者の税額軽減という制度があります。

※ちなみに正確にいうと相続税には配偶者控除という制度はなく、配偶者の税額軽減が正しい名称です。

この話をすると非常に多くの人から、次の質問を受けます。

答えはどうなると思いますか?

その通り。財産が1億6000万円以下の人が亡くなってしまった時に、全財産を妻が相続すれば、相続税は0円になります。

この話をすると多くの人が次に考えるのは…

しかし、残念なことに、この考えが、最も相続税を高くしてしまうことになるのです。今回は、配偶者の税額軽減の基礎知識から、相続税対策の最大の落し穴を解説します。

■配偶者が非課税になる金額はいくら?

配偶者は最低でも1億6000万円まで相続税が非課税になりますよ、とお伝えしましたが、正確にいうと、配偶者は、法定相続分と1億6000万円のいずれか多い金額まで、相続税が非課税とされています。この表現を一発で理解できる人はいないと思います。私も初めて聞いたときは「?」となりました。これは事例を使って解説したほうがわかりやすいので、早速事例を見ていきましょう。

たとえば、財産を2億円持っている人がいたとします。この人が亡くなってしまった時に、妻はいくらまで相続税が非課税になるでしょうか? 法定相続分と1億6000万円を比べていきます、と伝えましたが、妻の法定相続分は全財産の2分の1です。つまり半分です。

亡くなったご主人の法定相続分は2分の1です。この人は2億円の財産を持っていたので、法定相続分は1億円ということになります。この1億円と1億6000万円を比べてみましょう。

どちらが多い金額になりましたか?

1億6000万円ですよね。このことから、2億円の財産を持っている人が亡くなってしまった場合には、妻は1億6000万円まで相続しても相続税がかからないということになります。

では続けて、4億円の財産を持っている人の事例で考えてみましょう。4億円持っている人の奥さんは、いくらまで相続しても相続税が課税されないでしょうか? 一緒に計算していきましょう。

まず、4億円の法定相続分(2分の1)は2億円です。この2億円と1億6000万円を比べてみましょう。どちらが多い金額になりますか?

2億円ですよね。このことから、4億円の財産を持っていた人が亡くなってしまった場合には、奥さんは2億円まで相続しても相続税が課税されない、ということになります。

このように考えると意外と簡単に理解できますよね。改めてお伝えすると、配偶者は1億6千万円か法定相続分のいずれか多い金額まで相続しても相続税がかかりません。このように伝えるのが正しい形なのですが、いかんせん覚えにくいですよね。筆者がおすすめする覚え方はこれです。

「配偶者は最低でも1億6000万円までは絶対に相続税かかりません!」。これで覚えるのが一番です。

■相続税対策の一番の落し穴

「夫婦の間では最低でも1億6000万円まで相続税がかからないなら、最大限それを使った方がお得に決まっているじゃない!」と思う方は多いでしょう。しかし、ここが相続税の最大の落し穴といって過言ではありません。配偶者の税額軽減があるからといって、必要以上の金額を配偶者に相続させてしまうと、結果として損をしてしまう可能性が非常に高くなるのです。

一次相続で配偶者がたくさん相続すれば、確かにその時の相続税は少なくなります、ただ、問題になるのは、二次相続の相続税です。一次相続で配偶者が多くの財産を相続すると、次に、その配偶者が亡くなった時の相続税が高くなります。一見当り前のことをいっているように聞こえるかもしれませんが、実は、多くの人が次のことを知らないのです。

一次相続と二次相続とでは、仮に、同じ金額の財産を相続する場合でも、圧倒的に二次相続時のほうが、相続税が割高になります。一次相続と二次相続の相続税を合計すると、一緒になるわけではないのです。そのため、二次相続で夫婦の財産をまとめて子どもに相続させようとすると、相続税がものすごく高くなります。一見お得に見える配偶者の税額軽減ですが、夫婦でどれくらい相続させあうかは慎重に考えないといけません。

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最終更新:6/21(金) 8:00
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