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競争激化!日本のホテル業界が注目する「4つの差別化」とは?

6/21(金) 7:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

今回は、前回に続き、特別レポート「2021年のホテルマーケット展望」から抜粋し、競争が激化する日本のホテル市場で勝ち抜くための提言を見ていきます。※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

訪日外国人の需要…「シングル」の客室では狭い

差別化の一つ目の鍵は、より細やかな立地戦略だ。

今後は都市単位でホテルの事業性を検討するのでは不十分で、駅や空港などへの交通機関や観光地へのアクセスのよさ、ナイトタイムエコノミーが活発なエリアへの近接性、新しさだけでは勝負できないような供給が多いエリアの把握など、細やかに立地のポテンシャルを見極め、その立地特性に応じた商品構成を検討する必要がある。

また、交通アクセスや周辺繁華性が弱いために供給が少ないエリアでも、今後ポテンシャルが変化する可能性はないか、ホテル自体が需要を喚起する仕掛けを施すことで弱点を埋めることができないか、等の立地戦略も検討に値するだろう。

  二つ目の鍵は、ハードを含めた商品の多様化だ。宿泊主体が日本人だけでなく多数の外国人も加わったことで、受け皿となるホテルにも変化が見られるようになっている。

たとえば、客室構成の多様化だ。訪日外国人の86%*3を占めるアジアからの観光客は、単身で訪日するケースは2割程度にとどまり、残りの8割は家族や親族、友人など複数人で日本を訪れている*4。すなわち、訪日外国人の現在の宿泊需要の多くにとって、シングルの客室では狭いのだ。既に外国人観光客の多い東京、大阪、京都では、近年はシングルからより広いダブルやツインへと客室構成がシフトしている(図表6)。

ターゲットとする客層に応じてハードも多様化する必要があるだろう。

*3日本政府観光局(JNTO)2018年

*4訪日外国人消費動向調査 2018年

三つ目の鍵は、アッパークラス以上のホテルだ。CBREが把握している主要9都市の新規供給の87%は宿泊主体型*5のホテルであり、フルサービスホテル*6(その多くはアッパークラス以上に属する)は5%に過ぎない(図表7)。世界各都市のインバウンド需要(国際観光到着数)を考慮に入れると、日本におけるアッパークラス以上のホテルの数はまだ少なく、開発余地は充分にあるだろう(図表8)。

*5宿泊主体型ホテル:宿泊機能以外の付帯施設を限定、または最小限にした、宿泊を主体としたホテル及び宿泊に特化したホテル

*6フルサービスホテル:レストラン、バンケット、フィットネス、スパ、ドアマン、ベルボーイ、コンシェルジュなどの多彩な施設とサービスを提供するホテル

四つ目の鍵は、日本では新しいタイプのホテルとして注目されているブティック・ライフスタイルホテルだ。ブティック・ライフスタイルホテルとは、一般的に、独創的なコンセプトに基づいた高いデザイン性を備え、宿泊に留まらない付加価値や体験を提供し、ホテルでの時間を楽しめるホテルと言われている。

ホテルのカテゴリは「価格帯」と「機能」の2軸で分類されることが一般的だが、この新しいタイプのホテルはそれが当てはまらず、価格帯も広い。アメリカでは平均を上回るパフォーマンスを発揮する傾向が確認されており、まだ歴史の浅い日本においても成功する可能性は充分にあるだろう。

登場の背景は、旅行者の嗜好が、モノからコト、すなわち「体験」へとシフトしていることが関係している。ブティック・ライフスタイルホテルは、宿泊だけに留まらない、多様化した旅行者のニーズを充足し得るものとして期待されている。

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最終更新:6/21(金) 16:57
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