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「人も宗教も頼りにならない」ニューハーフ僧侶が目指す救いとは

6/21(金) 12:01配信

現代ビジネス

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僧侶であるかとうれいがニューハーフとなり、AV女優となるまでの経緯を辿った前回。引き続き、自ら「破戒僧」の道を選んだかとうに、信仰心の薄れつつある現代人にとっての救いとは何か聞いた。
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経を唱えても、救われない

 両親から壮絶な虐待とネグレクトを受け、近所の大人からも見捨てられていたかとう。祖父母に引き取られ5歳で仏門に入ってからは、仏様ならこの孤独をわかってくれる、いつか救ってくださるーーそう信じ修行に励んだ。

 しかし、仏教書をいくら読んでも、経を唱えても救われることはなかった。救世主はいつまでたっても現れなかった。そんなかとうに救われる瞬間が訪れたのは、僧侶として人々の悩みを聞く立場になってからだった。

 「相談者に寄り添ううちに、『これや』と気がついたんです。バラバラだった私の子供時代の、パズルのピースがすべて揃ったような感覚がしました」

 かとうは悩める人々の姿に、救われたいと願い続けていた過去の自分を見出した。過去の自分を救ったのは、未来であり今の自分自身だった。その日から、人に寄り添うことは使命となったという。

 それにしても、なぜギャル系の格好なのか。

 「自分の顔の骨格にはギャル系の濃いメイクしか似合わなかったから」と冗談っぽく言ったあとで、かとうはもう一つの理由について語った。

 「ギャル系の格好をしていると、心に隙間かかえた小・中学生が心を開いてくれやすいんです。坊さんには気安く相談できなくても、ギャルの姉ちゃんなら友達目線で悩みを打ち明けてくれるでしょう。買い物に付いてきてと言われることもありますね」

 袈裟とはもともと糞尿を拭いた布で作られた、貧しい人々に寄り添う服だった。「このギャル服こそ、自分の袈裟なんです」とかとうは言う。

必要とされる生き方をすれば、必ず助けてもらえる

 相談を受けることで自らも救われた感謝の念から、金品は受け取らない。受け取っても気持ち程度で、交通費以外は返すこともある。

 ある小学校低学年の女の子が、10円玉や5円玉をかき集めた数百円と引き換えに、ペットの葬式をあげてくれと依頼してきたときも、報酬にはこだわらなかった。

 「金持ちにとっての100万円と、子供にとっての数百円の価値は比べ物にならない。だから、人の葬式以上に弔ってあげました」

 ただでさえ、かとうを訪ねる依頼者は、方々で騙されてにっちもさっちも行かなくなった人ばかり。「高い鑑定料を受け取ってまで稼ごうとは思わない。生きているだけで十分ではないですか」とかとうは話す。

 「相談者には末期ガンの人や、家族が自殺した人もいる。ある意味で、死ぬ前に死を迎えてしまった人に近づかなあかんのです。そこでお金が発生すると、どうしてもバウンダリー(境界)ができてしまう。それを否定するわけではありませんが、自分のスタイルとしては『ええよ、一緒に頑張っていこうよ』と無償で寄り添うほうが性に合っていた」

 衣食住も、ほとんどは支援者からの厚意で成り立っている。

 「先生うちでご飯食べてよ、と呼ばれることがしばしばです。孫に勉強教える代わりにご飯食べていってと言われることもあります。人に必要とされる生き方をしていれば、必ず誰かが助けてくれる。綱渡りの生活ですが、私が必要なければ、神仏はとっくに私をあの世に送っているでしょう」

 履いているショートパンツも、娘のために近所のおばさんが買って不要になったものを100円で譲り受けたもの。下着や、靴も同じように入手した。風俗やAVで稼いだ現金も、自分のために使ったことはないという。

 「貧しくて、中学の制服を買えなかった女の子にカバンやらなにやら色々と揃えてあげました。『絶対に誰にも言ったらあかんよ、これは仏様から来たお金やから』と念を押してね」

 かとうにとっての僧侶とは、自己犠牲ができる人だという。

 「私みたいなめちゃくちゃな人間を見て、自分の生き方を肯定できる人がいてもいい。人はいつか自力で立ち上がらなければいけないけど、一人でも理解者がいれば出る力がまったく違う。だから、歩み寄りこそが救いになるんです」

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最終更新:6/22(土) 15:00
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