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沖縄映画・ドキュメンタリーの名作を上映する映画祭開催!「その名は、カメジロー」「ナビィの恋」も上映

6/21(金) 8:00配信

ザテレビジョン

6月末から7月にかけて、東京の小田急線沿線喜多見・狛江にて「第5回喜多見と狛江で小さな沖縄映画祭+α(色んなライブ)」が開催される。

【写真を見る】「第5回喜多見と狛江の小さな沖縄映画祭+α」ラインナップ

「ステレオタイプの沖縄を越えて…」「まず沖縄を知ることから始めよう」「ドキュメンタリーもフィクションも 深い真実を描く劇映画もある」「だからいっぱい見て欲しいのです」。

こんなフレーズが冠された映画祭が、東京の喜多見で始まったのは2013年のこと。当初は「沖縄映画」だけの映画祭ではなかったが、2015年から並行して「沖縄映画祭」が始まり、今回で5回目の開催となる。

「小さな」と名乗ってはいるが、上映される作品の注目度・話題性や作品数は立派なものだ。

今回も、見逃しているならぜひとも一度目にしておきたい作品や貴重な上映となる作品が数々ラインアップされている。

■ 「第5回喜多見と狛江で小さな沖縄映画祭+α(色んなライブ)」作品&イベント紹介

2017年、那覇市の桜坂劇場に始まり全国で続々と公開され大ヒットとなったドキュメンタリー映画「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」。沖縄の政治家・瀬長亀次郎の足跡をたどった映画で、アメリカ国際フィルム・ビデオフェスティバルでも受賞をしている秀作。

中江裕司監督のヒット映画「ナビィの恋」(1999年)、「白百合クラブ東京へ行く」(2003年)も上映される。沖縄映画ブームを生み、沖縄映画への注目を高めた2作品だ。

琉球王国初期の王陵を題材に、華やかで活気に満ちていた古琉球を描く「浦添ようどれ」(2010年)、沖縄の伝統舞踊・組踊を題材にした「うんじゅの花道」(2013年)、北村皆雄監督「南島残照 女たちの針突(ハジチ)~沖縄・宮古諸島のイレズミ~」(2014年)といった、歴史・文化面にスポットを当てた映画も興味深い。

さらには、満島ひかり・永山絢斗出演 「海辺の生と死」(2017年)、三上智恵・大矢英代監督の「沖縄スパイ戦史」(2018年)、今泉真也監督「Mother」(2017年)といった近年の作品から、「沖縄エロス外伝 モトシンカカランヌー」(1971年)、「聾唖者達の沖縄戦」(2000年)という少し前の作品も。

以前の同映画祭で上映され好評を博した「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」(2007年)、「ハブと拳骨」(2006年)、「カメジロー・沖縄の青春」(1998年)のアンコール上映もうれしいラインアップだ。

■ テレビ作品や特別イベントも多彩に企画

沖縄の放送局・琉球放送(RBC)と沖縄テレビ(OTV)が制作した数々のドキュメンタリーやドラマを鑑賞できるのも貴重だ。

琉球放送作品は、人気ホラードラマシリーズ「オキナワノコワイハナシ」や、ドキュメンタリー「やんばる 奇跡の森の物語」「奄美大島 水めぐる島の物語」「新九州遺産『稲(マイ)作りの島 西表島』」(いずれも2018年)を上映。ドキュメンタリーは「生命のシンフォニー」と題して、沖縄の自然を映像に収めたシリーズだ。

沖縄テレビ制作のドキュメンタリーは、「むかし むかし この島で」(2005年)、「戦争を笑え」(2006年)、「島の美よう室」(2014年)、「まちかんてぃ」(2015年)、「菜の花の沖縄日記」(2018年) 、「西表島 海と生きる森の物語」(2018年)。

「島の美よう室」は、渡名喜島で月に10日間だけ営業する生活を9年続けた茨城県の美容師の姿を通じて、離島の暮らしを描き、ショートショートフィルムフェスティバルでも話題を呼んだ作品だ。

+α(いろんなライブ)も力が入っている。6月27日(木)に幕開けとなる琉球舞踊ショーのほか、ミュージシャンのMilk(弥勒)、豊岡マッシーによるライブ、映画「辺野古抄」(2018年)上映+八島輝京監督のトークショーなど多彩な企画が並ぶ。

特別プログラムとして、写真家・島尾伸三氏のトークショー「映画と黒糖酒と島尾伸三」、ドキュメンタリー作家・森口豁(かつ)氏による「森口豁の肝苦り結歌」も開催される。「森口豁の肝苦り結歌」は、日本テレビのディレクターとして手腕をふるった森口氏の”最後のトークショー”と題して、氏が手掛けた沖縄関連のドキュメンタリーを振り返る。

ほか、実力派お笑いコンビ・しゃもじ&オリオンリーグのお笑いライブもある。しゃもじは第1回から本映画祭に出演している常連だ。

■ キタコマ沖縄映画祭実行委員会インタビュー

以下、「第5回喜多見と狛江で小さな沖縄映画祭+α(色んなライブ)」事務局(実行委員会)の高山正樹さん、宇夫方路さんに映画祭会場であるM.A.P.で話をうかがった。

――「沖縄映画祭」を始めたきっかけについて教えてください。

高山:そもそもは、「壊された5つのカメラ」(2011年)というパレスチナの映画があるんですが、これを上映したいと思ったことがきっかけ。アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた作品ですが、映画祭の立ち上げメンバーがこの映画の監督さんと友達でね。

ここ(M.A.P.)で飲んでいた時、「上映できるよ」って彼女が言うから、え?アカデミー賞ノミネート作品を上映できるの?ってなって、だったら映画祭もやれるよねと思って始まったんです。でも、アカデミー賞にノミネートされたとしても、ドキュメンタリー映画にお客さんは来ないってことがよく分かりました(笑)。

だから2013年に始めた映画祭は、「沖縄映画祭」ではなくて、「小さな小さな映画祭」というタイトルだったんですよ。(「第1回喜多見と狛江の小さな小さな映画祭+α<ライブあり芝居あり>」のパンフレットを示しつつ) このゴーヤーのマークが付いているのは沖縄関連作品ですけどね。

――第1回で沖縄の映画を多く上映したことには理由があるのですか?

高山:たまたま(笑)。自分がずっと沖縄に関係することをやってきたので、知り合いのツテを頼りに作品を集めた結果、沖縄関連の映画が意外と多かった。特に沖縄の映画をいっぱい集めようと思ったわけではないんですが、たまたま集まった作品に沖縄の関連作品が多かったということ。そんなこんなで、2015年から「沖縄映画祭」やろうよということになって、年に2回も映画祭をやることに。

――年に2回も映画祭を開催するなんて、それは大変ですよね。

高山:だんだん本祭の方の作品数が減ってきて…。

――会場がここ(M.A.P.)以外に広がったことに理由はありますか?

高山:本祭の1、2回は、全部ここで上映したんですけど、障がい者の人たちとの関係ができる中で、この会場に車いすで来てもらって、階段を上がって中に入ってもらうのは危ないなと思って。車いすの人にも見てもらいたいと考えて公民館なども使うようになりましたね。

複数の会場で開催すると、移動するのがすごく大変でね。機材をセッティングして上映して、持って帰って、次の日のために準備して、移動して…の繰り返し。もうやめよう!って(笑)。今回は期日を分けて、合理的にやります(笑)。

――このスタッフ数で1日2会場って…。

高山:信じられないでしょ?(笑)。地域を巻き込んでいろんな会場でやろうって、5会場でやったこともある。この時が一番疲れました。もう絶対やっちゃいけない(笑)。

――どんな作品を上映するか、どんな映画祭に仕立てるかという点で意識していることはありますか?

高山:ドキュメンタリーばかりを上映すると、どうしたって主義主張が生じる。主義主張が悪いとか、色が付いている映画が悪いとは言わないけど、ステレオタイプの沖縄観を打破しようとなると、ドキュメンタリー映画ばかりというのはどうなのかなと。

沖縄って戦争をテーマにしたドキュメンタリーが映す面ばかりじゃないよって言うことを伝えたい。いつも大きな紙に表を作って、現代~戦争~時事問題だとか、文化・自然とか、八重山・宮古とか、付箋に書いて並べてるの。それを見て、このジャンルが薄いね、何かないかな?って考えるという選び方で決めていくんです。

決して、バランスを取りたいとか、偏らないという意味ではなくて、いろんな沖縄の姿を見せたい。沖縄の政治的な運動に関心のある人、沖縄音楽が好きな人、沖縄は海がキレイでいいと思っている人、そういう人にたちに、沖縄ってそれだけじゃないよということを伝えたい。

同じ作品数の映画祭を下北沢や渋谷でやればもっと来場客も増えて、もうちょっとお金も入ってくるし、やりたいことができるとも思うけど、普段映画をあまり見ないこの近所の人が、「遠くだったら行かないけど、ここでやるなら行く」、来てみたら「へー、沖縄ってそんな場所なんだ、知らないことがいっぱいあったな。来てみて良かったな」と思ってくれるような映画祭を目指します。小さな町で数多くの作品を集めて映画祭やるということにこだわりたい。

――「ステレオタイプの沖縄を越えて…」というキャッチコピーには、一つの作品を目当てにするのではなく、いろんな作品を見てほしいというメッセージを感じます。

高山:単発の上映で、沖縄のことを知ってもらうのは無理なんですよ。主義主張があって。この映画良いですよというのがやりたいわけじゃなくて、皆さんにいろんなものを見てもらって、いろんな沖縄を知ってもらって、その上で考えてもらいたいという思いがあります。

また、単発で上映してもお客さんを呼べない映画もあるでしょう。ということは必然的に映画祭にするしかない。なおかつ数は多い方が良い。

だからチラシも重要。チラシを広げて見て、「こんな映画もあるんだね」って思ってくれること、沖縄をいろんな面から描いた映画がこんなにあるんだって知ってもらうことも重要だと思っているんです。

――総体として見てほしいと考えられているところに恐縮な質問ですが、作品のいくつかを紹介いただけますか。

高山:本当はどれが注目とかは言いたくないんですけど…。

「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」は、見逃していた人は来るんでしょうね。瀬長亀次郎について何にも知らない人たちには見てもらいたいと思う。

「ナビィの恋」をなぜやるか。「ナビィの恋」は、沖縄映画界にとっては岐路の作品だと思うんです。白黒が似合いそうなドキュメンタリー沖縄映画から、これ以降トロピカルな沖縄、天然色の沖縄みたいな映像が生み出されるようになった。以後、そういう沖縄を描く人たちにとっては「ナビィの恋」をどうやって超えるかが課題になった。いっぺん上映しとかなきゃなと思っていたんです。

同時に「白百合クラブ東京へ行く」もやります。これも面白いですよね。

「聾唖者達の沖縄戦」はほとんど音声がなく、字幕だけで見る映画。沖縄戦がどういうものだったのかを知らない耳の聞こえない人に向けた映画だから、優れた沖縄戦入門作品になっています。

以前、「やぎの冒険」(2011年)という映画を、目の見えない人と一緒に見ようという企画で取り上げたことがあります。内容を説明しながら「今、朝です」って告げたら、「言わなくても分かります、鳥が鳴いてる」と声が上がった。「本当だ。僕ら何も聞こえてないんだね」と思い知らされた。耳の聞こえない人からは、私たちがいかにいい加減にものを見ているかということに気付かされます。

個人的に大好きなのはアンコール上映する「ハブと拳骨」。これはもう大好き。主役の尚玄君が行けたら行く、と言ってました。

――今回テレビ局制作のドキュメンタリーもたくさん上映されますね。

高山:上映をお願いしてみてびっくりしたんですよ。テレビのドキュメンタリーをここで上映させてもらえるとは思ってなかったから。今回、正面から沖縄のテレビ局に話してみたら「ありがたい。上映してほしい作品を送ります」って。それで作品が増えちゃったんだけど(笑)。上映時間が短いのでレイトショーにして、ドリンクをサービスします。終わったら一緒に飲みましょう。

あと、沖縄を伝え続けるドキュメンタリー作家・森口豁さんのトークショーもぜひ注目してほしいですね。森口さんは余命宣告されていて、厳しい状態。なのにご本人が「最後のトークショーにしよう」って言って、出ていただけることになりました。本当に貴重なトークショーですので、ぜひお出でください。

(ザテレビジョン)

最終更新:6/26(水) 20:37
ザテレビジョン

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