ここから本文です

他国の女王を殺し家臣を奴隷化するサムライアリの極悪非道な国盗り物語【えげつない寄生生物】

6/21(金) 7:00配信

デイリー新潮

 ゴキブリを奴隷のように支配したり、泳げないカマキリを入水自殺させたり、アリの脳を支配し最適な場所に誘って殺したり――、あなたはそんな恐ろしい生物をご存じだろうか。「寄生生物」と呼ばれる彼らが、ある時は自分より大きな宿主を手玉に取り翻弄して時には死に至らしめ、またある時は相手を洗脳して自在に操る様は、まさに「えげつない!」。そんな寄生者たちの生存戦略に、昆虫・微生物の研究者である成田聡子氏が迫るシリーズ「えげつない寄生生物」。第8回は「他国を乗っ取るサムライアリの女王」です。

 アリの社会は少し人間の世界に似ています。多くのアリでは、それぞれ仕事が割り当てられているからです。アリは成虫になると、「女王アリ」、「働きアリ」、「兵隊アリ」、「雄アリ」、と分化していくことが一般的です。このような種では、卵を産むことができるのは「女王アリ」のみです。女王アリは雄アリと交尾をすると、女王が単独で巣を作り、産卵します。そして、孵化した子は働きアリとなります。その後も、女王は子どもを産み続け、その世話は先に成長した働きアリたちがおこないます。そうして、アリの群れは大きくなっていきます。

 女王アリは普段、メスしか産みません。女王から生まれたメスたちは「働きアリ」と「兵隊アリ」になります。働きアリはその名の通りよく働きます。働きアリの仕事は女王の世話、卵と幼虫の世話、外での餌探し、餌の運搬、食料の備蓄、巣の掃除など多岐に渡ります。

お侍さんのようなアリ「サムライアリ」

「サムライアリ」というアリは、一般の社会性アリとは少し異なります。その名前からも分かるようにお侍さんのように戦うことのみに特化し、生活にかかわる雑用などは一切しません。

 サムライアリは沖縄以外の日本の全国で見られ、体長は5ミリ程度の黒褐色のいわゆる普通のアリの外見をしています。しかし、戦いの際に武器となる大あごの形状が違います。サムライアリは他のアリに比べて、大あごが鎌状に長く発達しているのです。

 サムライアリは働きません。では、誰が食料を集めたり、幼虫や女王の世話をしたり、巣の掃除などをするのでしょう。それらの生活に関わるすべての雑用は、ほかの種のアリたちがおこないます。サムライアリは他のアリを騙し、家来のように働かせ、自分たちの世話をさせます。

 このように、宿主の体内に寄生し、直接栄養を得るのではなく、宿主が餌として確保したものを餌として得るなど、宿主の労働に寄生していることは「労働寄生」と呼ばれます。

1/5ページ

最終更新:6/21(金) 7:00
デイリー新潮

記事提供社からのご案内(外部サイト)

デイリー新潮

新潮社

「週刊新潮」毎週木曜日発売

「デイリー新潮」は総合週刊誌「週刊新潮」が発信する最新の話題に加え、専任取材班による綿密な取材に裏打ちされた記事を配信するニュースサイトです。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事