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【動物は知っている】「ひとり飲み」は離婚のもと、ネズミで確認

6/22(土) 15:02配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

 地球には千種以上のげっ歯類が暮らしている。なかでも、プレーリーハタネズミ(Microtus ochrogaster)は特別な存在だ。

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 北米の草地にすむ彼らは、げっ歯類としては珍しく一夫一婦制をとり、アルコールの摂取を好む。そのため、人間と比較する上で興味深い研究対象となる。

 しかも、人間のカップルの一方だけが酒好きな場合に起きるのと似たような問題が、プレーリーハタネズミでも発生することが、学術誌「Frontiers in Psychiatry」に2017年に発表されている。

 人間では、過度の飲酒は恋人や夫婦関係を悪化させる恐れがあり、離婚に至ることもある。夫婦関係が壊れやすいのは、ひとりだけが酒を大量に飲み、もう一方は飲まないケースだ。対して、双方とも酒好きな夫婦では通常、関係性に問題は生じない。しかしながら、飲酒が関係悪化の原因なのか、それとも関係が悪化したせいで問題のある飲酒行動に至るのかはわかっていない。

オスのひとり飲みは浮気心を助長する

 そこでプレーリーハタネズミの出番となった。飲酒が関係破綻の原因になるかを確かめようと、米オレゴン健康科学大学の大学院生だったアンドレ・ウォルコット氏は、100匹を超えるプレーリーハタネズミを集め、まず自由につがいを作らせた。その上で、プレーリーハタネズミのオスに酒を与えてさまざまなケースを検証した。

 プレーリーハタネズミは出されたアルコールをしっかりと飲んだという。「彼らは大量のアルコールを飲みます」。この研究を監督した神経科学者のアンドレイ・リャビニン氏は言う。「1日にワイン15本分に相当する量を飲むこともできます」

 結果は、オスだけが酒を飲んだ「不一致夫婦」では、オスがパートナーと一緒に過ごした時間がより短かった。オスとメスがどちらも酒を飲んだ、あるいはどちらも飲まなかったつがいは、より長い時間を一緒に過ごす傾向がわかった。

「愛情ホルモン」オキシトシン

 研究者らは同時に脳の様子も調べた。すると、不一致夫婦のオスでは、「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンの受容体の活動レベルが一部で他と異なることを発見した。これが正確に何を意味するのか、また人間にも通じるものがあるのかどうかは、今後の研究に託される。とはいえこの事実は、お酒を飲むことより、夫婦のうち一方だけが飲むという飲み方に、夫婦関係を悪化させる生物学的な基盤がある可能性を示している。

 ウォルコット氏とリャビニン氏は次に、メスのプレーリーハタネズミについて、オスの場合と同じ結果が出るかどうかに取り組んでいるそうだ。

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