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『X-MEN:ダーク・フェニックス』の完成度はともかく、手の演技は注目に値する

6/22(土) 14:12配信

WIRED.jp

役者が演技をするとき、セリフやあらすじの流れなどに頼れないときは、何かほかの手段を見つけなければならない。それは顔の表情だったりボディーランゲージだったりするわけだが、『X-MEN』の場合は手の動きだ。シリーズ最新作の『ダーク・フェニックス』でも、出演者たちは手を駆使した演技をしている。

【動画】『X-MEN:ダーク・フェニックス』本予告

そう、手だ。超絶的なパワーをもつ者が、その力を行使する姿は美しい。正直に言って『ダーク・フェニックス』の筋立てはあまりに薄っぺらで、もはや笑うしかないほどである。だが、主人公のジーン・グレイを演じるソフィー・ターナーは、その特殊能力を繰り出すときにサイレント映画のように優雅な身振りを見せる。そして、映画はそれによってかろうじて救われているのだ。

ジーンの印象的な手の動きは、彼女の暗黒面の人格であるダーク・フェニックスが解き放たれたときに顕著になる。グレイは自らの内部で何が起きているのかを探っていくなかで、ミュータントとしての特殊能力と、それを使うために必要な所作を学んでいく。

ジーンが敵を前にして女神のように空中に浮かぶとき、彼女の手のひらと美しく曲げられた指に注目してほしい。彼女は静脈からほとばしるサイコキネシスの力をコントロールするために、腕を伸ばして何かを掴むような仕草をする。その優美さには驚嘆するばかりだ。

特殊能力ゆえの手の動き

ジーンは単に強大な力をもつミュータントではない。ビヨンセのような完璧なダンスで自らのエネルギーを放出するスーパーヒーローなのだ。ただ、最初から正確な動きができていたわけではない。ミュータントとしての特殊能力を制御し、他者を傷つけることのないよう格闘してきた。

ジーンはその過程で、自らと同じ超能力者で磁力を操ることのできるマグニートーのもとを訪れる。マグニートーことエリック・ラーシャーを演じるのはマイケル・ファスベンダーだ。ファスベンダーは『X-MEN』シリーズでは過去にもマグニートーを演じているほか、『エイリアン:コヴェナント』にはアンドロイドのデヴィッド役で出演している(ちなみにこのときはアンドロイドという役柄のため、頬の痙攣を通じてしか怒りを表現できなかった)。

ジーンとマグニートーの出会いは、当然のことながら映画のハイライトのひとつだ。ふたりはヘリコプターを操ることで自らの力を示し、互いに張り合おうとする(むちゃくちゃな話に聞こえるだろうが、映画のなかでは筋が通っているのだ)。信じられないかもしれないが、わたしはこのシーンで泣いてしまった。

マグニートーが全身に力を込めて指を硬直させ、首をこわばらせながらもなんとかヘリコプターを操作する。この様子を見ていたジーンは魔術師のように腕を動かしながら、いともたやすくヘリコプターを横転させてみせる。ここでも手のひらの動きに注意しよう。そして、観客はジーンの暗黒面が現れつつあることを知るのだ。

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最終更新:6/22(土) 14:12
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