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緑の党と欧州懐疑派が躍進、欧州議会選にみる若者の変化

6/22(土) 12:31配信

Wedge

 5年に一度の欧州議会選が5月23日から26日までの4日間、総人口5億人の欧州連合(EU)28加盟国で行われた。開票の結果、これまで最大会派だった中道右派の「欧州人民党」と第二会派だった中道左派の「社会民主進歩同盟」の2大政党が弱体化し、緑の党と、極右などの欧州懐疑派が躍進した。

 定数751人のうち、2大政党は前回の403議席から71議席を失い過半数に届かず、緑の党は52から69議席へ、欧州懐疑派は合計154から175議席へと勢力を伸ばした。

 この結果を招いたのは、欧州政治に対する若者たちの意識変化によるものだった。34歳以下の投票率は、5年前から大幅に増加。欧州外交評議会(ECFR)によると、フランスでは13%の上昇で40%、極右政党への支持が高いイタリア、オーストリア、デンマークでは50%を超えた。

 特に25歳以下の若年層の間で、緑の党への支持率は、ドイツで34%、オーストリアで28%、フランスで25%と、第一党に飛躍したことがわかった。世論調査機関「イプソス」のブリス・テンチュリエ氏は「若者たちは今後、地球温暖化現象とともに生きる世代であることを認識しているからだ」と分析した。

 環境問題を不安視する若者がいる一方で、移民による治安悪化や伝統文化の衰退を危惧し、欧州懐疑派の主張に傾倒する若者も増加した。「自由と直接民主主義の欧州」は41から54議席へ、「国家と自由の欧州」は37から58議席へと勢力を伸ばした。

 フランスでは極右「国民連合」のルペン氏が、イタリアでは同じく「同盟」のサルビーニ氏が第一党を掌握。若年層からは、前者が30%、後者が20%と、圧倒的な支持率を得た。躍進の裏には、極右やポピュリズムを率いるリーダーたちの年齢が若く、ソーシャルネットワーク(SNS)を巧みに使いこなした戦略があるという。

 選挙広告にフェイスブックを使うなど、他党の7倍の資金をつぎ込んだベルギーの極右「フラームス・ベラング」の党首は「われわれはテロリズムと最大の移民問題に苦しんでいる」との訴えをSNSで拡散。若年層の心を掴んだといわれる。

 欧州の若者たちは現在、従来の政治理念とは異なり、持続可能な環境や自国ファーストの波に乗り始めている。

宮下洋一 (ジャーナリスト)

最終更新:6/22(土) 12:31
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