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泣けるほど実用的! フィアット 初代パンダを普段使いする!──連載「粋な絶版名車のススメ」

6/22(土) 21:17配信

GQ JAPAN

絶版名車とは「今もその当時の存在感や魅力があせることなく、現在のクルマにはない“味”をもち続けるクルマ」である。クラシックカー市場が高騰し続けるいま、そんな先取りしたい絶版名車を紹介する。

【写真を見る】本気で”かわいい”初代パンダ!

狙ったレトロではなく自然に生まれた機能美

すべての物事が何かと便利で、何かと過剰でもある2019年のニッポン。それはそれで悪くない話である。何かと不便で、今にして思えばモノも不足していた昭和中期から後期にかけての世の中と比べれば、「ある意味、いい時代になったものだ」としみじみ思う瞬間は多い。

しかし人間というのは皮肉というかわがままなもので、世の中の高度情報化が進めば進むほど、ときには「良質なローテク」に身を任せる時間も持ちたくなる。

それゆえ、都市に住まう人々はときに山へ海へと出かけたり、別宅として古民家を購入したりするのだろう。結構な話である。

だが自動車によっても、人は居ながらにして──というか走りながらにして──「良質なローテクに身を任せる」という短時間の快楽を得ることはできる。

その方法のひとつが、イタリアの大衆実用車であった「フィアット パンダ」を購入し、2019年の本邦で普通に使ってみることだ。

現在はなかなかモダンなつくりの3代目パンダがフィアット・クライスラー・オートモービルズより発売されているが、ここで言っているのではそれではない。1980年にデビューした「初代」のフィアット パンダだ。この車の絶妙なローテクっぷりが、都市に住まう現代日本人には「効く」のである。

現在の視点から見ると非常にレトロスペクティブで可愛らしいデザインといえる初代パンダだが、それはもちろん「狙ったレトロ」ではなく、インスタ映え(?)を意識した結果の可愛らしさでもない。

工業デザインの世界的巨匠が「小型大衆実用車の本質」をとことん追求した結果として、このフォルムになったのだ。そしてそれが正鵠を射ていたものだから長きにわたって各国市民に愛され、長い間愛されたものだから、いつの間にか「レトロで可愛いデザイン」になってしまった──というのが本筋である。

初代パンダはフィアット社のクルマではあるが、開発を担当したのは、先ほど「工業デザインの世界的巨匠」と表現したジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザイン。フィアット社からの委託を受けての全面担当だった。

ジウジアーロは開発と製造のコストを抑えることで「誰もが買える値段の小型実用車」とするべく、ボディ外板はひたすらの直線と平面を採用。そしてウインドウにもややこしい曲率はいっさい与えず、ひたすら真っ平らな「板ガラス」とした。

このあたりが、今にして見ると「レトロで可愛い!」となる理由のひとつなわけだが、その出発点は美観うんぬんではなく「誰もが買える値段で良質な小型実用車を作る」という思想だったのだ。

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最終更新:6/22(土) 21:17
GQ JAPAN

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