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高齢者が食べものを喉に詰まらせる意外な理由

6/22(土) 6:05配信

幻冬舎plus

中村健太郎

「審美」「インプラント」「矯正」には要注意! そう警鐘を鳴らすのは、歯学博士の中村健太郎さんだ。人生100年時代、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)のカギとなるのが「歯の健康」。いくつになっても自分の歯で食事をするには、どんなことに気をつければよいのか? 最新の知見が満載の著書『噛む力』より、重要なポイントを抜き出してみました。*   *   *

実は「歯」に原因があった!

毎年お正月になると、餅を食べた高齢者の窒息がニュースになります。高齢者がよく餅を喉に詰まらせてしまうのはどうしてでしょうか。答えはとても簡単で、一度に多くの量を口に入れてしまうからです。ではなぜそんなことをしてしまうのでしょうか。

人の口の中の大きさ(容積)は一人ひとり異なります。

私たちは日ごろから自分の口の大きさを認識し、口に入れる食べ物の量を瞬時に判断しています。

小さい子どもはまだ自分の口の大きさがわかっていないため、それ以上に頬ばってしまうことがありますが、大人はおしゃべりしながらでも、自分の口の中の大きさに合った量を入れることができます。その量はまた、飲み込むときに喉を通る適正量でもあります。

ところが、高齢になり歯が抜け歯ぐきが痩せると、口の中の容積は知らないうちに増えています。特に、入れ歯の人の場合、歯科医師がそのことを考慮せず、よかれと考えてとにかく違和感が少ないよう入れ歯を小さく薄く作ってしまうと、口の中が自分の適正サイズよりも大きいまま、食べ物を食べることになります。

するとひと口の量がつい多くなり、うまく飲み込めず喉をふさいで窒息に至るというわけです。

入れ歯の歯茎部分は、薄ければいいというわけではありません。歯科医師は入れ歯を製作する際、そのような点まで考慮する必要があるということなのです。

よくむせるのは左右均等に噛めていなから

まだ高齢というわけではなく、唾液量も少ないわけではないのに、食事中よくむせるという人がいます。その原因はどこにあるのでしょう。

口の中で食べ物をひとかたまりにするのは、本来、難しいことではありません。

意識しなくても、何度も噛んでいるうちに食べ物が口の中を右へ左へと行き来して、一つにまとまっていってくれます。このように左右で自在に噛むことを、「自由咀嚼」と言います。それに対して、左右のいずれか片方の奥歯だけで噛むことを「偏咀嚼」あるいは「片側咀嚼」と言います。

自由咀嚼ができれば、何も意識しなくても自然と食塊形成ができます。しかし片側だけの場合は、うまく唾液と混ぜて一つにまとめることができず、少しずつダラダラと飲み込む結果となってしまいます。それがむせてしまう原因です。

自分が左右均等に噛めているかどうかをチェックする方法は、味をちゃんと感じるかどうかです。食べ物が左右を行き来していれば、舌の上を必ず通るため、舌の表面にある味蕾が刺激され、味を敏感に感じることができます。

では、偏咀嚼はどのようなときに起きるのでしょうか。

ここでちょっと試してみましょう。何かを食べながら、顔を左、あるいは右に向けてみてください。どっちの歯で噛んでいますか? 左を向いたときは左、右を向いたときは右で噛んでいるのではないでしょうか。

反対の歯で噛もうとしてみてください。非常に噛みづらいはずです。

次に、食べながら下を向いてみます。顎が動かしづらく、うまく噛めないはずです。ものを噛むときに頭の位置が大きく影響していることが実感できたでしょうか。

もしあなたが偏咀嚼になっている原因が、このように食べる際の頭の位置にあったのなら、習慣を変えるだけで自由咀嚼を取り戻すことができます。

ちゃんとまっすぐ前を向いて食べているにもかかわらずよくむせる人は、咬み合わせが悪いか、奥歯が1本ないなど、口の中の状態に問題があるということになります。歯科医師に適切な治療を受け、根本的に問題を解消する必要があります。


■中村健太郎
Shurenkai(修練会)Dental Prosthodontics Institute院長、歯学博士。1962年、愛知県生まれ。89年、愛知学院大学歯学部卒業。同年、愛知学院大学歯学部冠・橋義歯学講座所属。95年、中村歯科醫院開院。2010年、中村歯科醫院終院。現在、愛知学院大学歯学部冠・橋義歯学講座非常勤講師、愛知学院大学歯学部高齢者歯科学講座非常勤講師、公益社団法人日本補綴歯科学会専門医・指導医などを務めながら、公益社団法人日本補綴歯科学会認定研修機関とShurenkai(修練会)を主宰し、全国の歯科医師に向け、ほてつ(補綴)歯科治療の大切さを伝えている。

最終更新:6/22(土) 6:05
幻冬舎plus

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