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大規模修繕の実施…普通決議で可能か?法務省立法担当者の見解

6/22(土) 14:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

一戸建ての特家住宅や賃貸住宅と並んで、ごく一般的な住宅となっているマンション。そのため、私法としても、「マンション法」は重要な法分野となっています。本連載は、早稲田大学法科大学院教授・鎌野邦樹氏の著書『マンション法案内 第2版』(勁草書房)より一部を抜粋し、マンション購入の基礎知識、居住地の財産関係をはじめとした法律問題をわかりやすく解説します。本記事では、マンション共用部分の維持や管理に関わる法律を見ていきます。

共用部分の「修繕」は、各個人が自由に行える

◆共用部分の管理と2002(平14)年法改正

●管理の3類型

専有部分をどのように維持・管理するかは、各区分所有者に委ねざるをえませんが、共用部分の維持・管理については、その共有者である区分所有者全員で決定していかなければなりません。

その維持・管理の方法に関して、区分所有法は、民法の共有物の管理の規定(251条、252条)に倣い、次の(1)~(3)の3つの場合に分けて定めています。ただ、民法の規定の仕方と完全に同じではありません(12条参照)。(1)~(3)の詳しい内容については、ここではそれぞれの概要だけ示しておきましょう。

(1)保存行為(共用部分の修繕等)については、各区分所有者が自由に行うことができます(18条1項但書)。この点については、民法上の共有の場合(252条但書)と異なるところはありません。たとえば、自分の住戸の前の廊下が損傷した場合に、まず自らの費用で修補しておいて、後に管理組合(他の区分所有者全員)にその費用を求償することができます。

(2)共用部分の通常の管理(外壁の塗装工事等)は、集会の決議(区分所有者および議決権の過半数での決議)で決します(18条1項本文)。過半数という点は、民法上の共有の場合と同様ですが、民法では「持分の価格」(「持分権の割合」という意味です)の過半数です(252条本文)。

民法の対象となる一般の共有物の管理については、その財産権の大小が決定にあたっての主因ですので「持分権の割合」としましたが、共用部分の管理については、それだけではなく、区分所有建物ないし区分所有者の団体の存続を前提として各区分所有者の意思を均等に反映させようということから、「集会の決議」(18条1項本文)すなわち「区分所有者および議決権の各過半数で決する」(39条1項)としました。

(3)共用部分の変更(階段室をエレベーター室に変更する等)は、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決します(17条1項)。民法上の共有物の変更については全員の合意が必要ですが(251条)、区分所有建物において、大多数の者が必要と考える共用部分の変更が全員の合意がない限り不可能であるとすると、区分所有建物の長期間にわたる維持・管理が困難になると考えられることから、特別多数決とされています。ただ、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならず(17条2項)、承諾を得られない限りは、変更は認められません。

●2002年法改正と大規模修繕

共用部分の変更に関する近年の重要な法改正についてみていきましょう。

2002年(平14年)の区分所有法の改正前の規定(旧規定)では、共用部分の変更について、「改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないもの」(軽微変更)を除くとして(17条1項本文括弧書)、このような軽微変更については、過半数の決議によるとされていました。

たとえば、廊下の照明設備を1つ2つ増やす場合等が軽微変更に当たります。同改正法(以下、「2002年改正法」といいます)では、この軽微変更の内容について、「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」と改めました。これは、通常、多額の費用を要する大規模修繕工事について、従来の規定ですと4分の3以上の決議が必要とされると考えられるところ、これを過半数決議で足りるとする趣旨から改正されたものです。

定期的に(たとえば10年なり12年なりに1度の割合で)外壁塗装・補修などの大規模修繕工事をしていくことは、マンションの管理にとって不可欠なことであり、これについては、たとえ多くの費用がかかっても過半数決議で足りるとすべきであると考えたのです。

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最終更新:6/22(土) 14:00
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